オリンピックの感想

日本人とスポーツ

いろいろな話題で盛り上がったオリンピックも終了した。今回テレビを見ていて、ある種の疑念が頭に浮かんだ。、どうも日本人は世界の中でも基本的にはスポーツに向いてない、もっと正確に言えば身体能力の劣る民族ではないかという事だ。もちろん、スポーツには身体能力だけで上手くなるものではなく、テクニックやそれを身につける意欲、集中力などメンタルな面も影響するから、一概にスポーツに不向きだと断定は出来ないと思うが、少なくとも身体能力に関しては世界の中でもかなり劣る民族に属するのではないだろうか。

陸上男子１００メートルでは、今までに３０人が１０秒を切って９秒台で走っている。これは全員が黒人選手で、白人や黄色人種では日本の伊東などの１０秒００が最高だ。黒人には圧倒的な筋肉の瞬発力がありとても敵わないが、この陸上１００メートルは日本人の素質からすれば大健闘だと思う。私が言っているのは、このような黒人相手のことだけではない。

例えばサッカーや野球の例で説明すれば、かなり判りやすいと思う。サッカーは日本にもＪリーグというプロ組織が出来て、かなりレベルアップして今回ももう少しで決勝ラウンドに残れるところまで来た。選手の収入も世界的に見てかなり高額なようだ。また世界中からトップレベルのスター選手を呼んで、レベルアップに努めている。このような強化策で次第に世界のレベルに近づきつつあるが、今回のオリンピックを見て愕然としたことがあった。それは相手の選手との一対一の場面だ。

この場面では端的に選手の身体能力が表われる。これは黒人選手だけでなく、白人やアジアの選手にも明らかに負けている。例えば南アフリカ、スロバキア、ブラジル、アメリカ、対戦した総ての国の選手との一対一のボール争いに負けている。日本はこの辺りを良く理解していて、個人技でなく組織プレーを選択しているので、それなりに試合には負けないようなゲーム運びをしているが、やはり一対一の争いも局面によってはどうしても必要になってくる。それをことごとく負けていては、今以上に上にはいけないと思う。得点も一人で相手を突破して行く力がないので、ラッキーパンチ的なものしか入らなくなってしまう。

野球にしてもそうだ。アメリカ、キューバ、韓国、台湾総てパワーベースボールで、力いっぱい投げてそれを思いっきり打ち返す。日本のはファーストストライクを振らずに四球を選んだり、あまりにバントを多用したりで、いわゆるせこい野球が目立つ。これも体格が欧米人に敵わないからかもしれないが、同じアジアの韓国や台湾よりも体格、パワーで劣るのか？　振り返って見れば、日本の野球でも超人的な記録を持っているスーパースターは外国の出身者が多いことに気付く。

８６８本のホームランをかっ飛ばした王、４００勝投手の金田、３０００本安打の張本など、投打の分野で恐らく記録更新が不可能と思われるような超人的な記録は、帰化する前は外国人だった選手によって打ちたてられている。数からすると圧倒的に多いはずの日本人が、このような記録を記録できないというのは、日本人の身体能力が外国人と同等とすると明らかに矛盾が生じる。これらはハングリー精神の有無で片付けられる問題ではないだろう。やはり、日本人は体格、身体能力で同じアジアの中でも劣っているのではないだろうか？

日本人は縄文人プラス中国や朝鮮、南アジアなどからの渡来人によって形成されていて、現代では縄文人の残っている形質は少量だと言われている。その時点では、遺伝的には他のアジア人とあまり変わらないはずだ。ただし、日本は島国なので他の国からの侵略などがなくて、比較的安泰な環境だったのかもしれない。自然選択説からはそのような環境では、屈強な身体を必要としないので、次第に軟弱なものになっていくのかもしれない。しかし、同じような島国のイギリス人が貧弱な体格という話は聞いた事もないが・・・。もしくは日本固有の縄文人が軟弱だったということも考えられるが、遺跡から出てくる縄文人はかなりガッチリした骨格をしているようだ。

ただし、救いはないわけではない。今回のオリンピックで獲得した金メダルが総て、柔道とマラソンのものだというのはある種の真理を示していると思う。それは体格をカバーできる階級別の種目か、競技を理解する能力や練習法の工夫（日本の経済力を含む）である程度カバーできる種目なら太刀打ちできる可能性はあると思う。ただし、そのためには他の国のアスリートに比べて、常に過酷な練習と創意工夫を重ねて行かないと、トップから直ぐにボトムまで落っこちてしまう危険性も高い。バレーボールや体操などが良い例だ。また例え柔道でも体重に制限のない１００キロ超級などは、今後はまず勝てないのではないだろうか。

それだけ日本人がオリンピックなどでメダルを取るのは、他の国の選手以上に苦しくて難しいことなのだと思う。逆に言えばそれだけ価値のある事なのだが、マスコミも日本の実情を少しは理解して、あまり実力以上にメダルを取ることを期待しないほうが良いと思う。そうしないと本来楽しいはずのスポーツが、苦しいだけの悲壮感あふれたものになってしまう。見ていて辛くなるスポーツはやはりどこか変だと思う。