読売ジャイアンツの悪行

日本の野球界も契約更改の場に、代理人を同席できるようになった。アメリカにかなり遅れて、しかもいろいろな制限つきで今年だけの試験的な試みらしいが、取り敢えずこれで遅れていた日本の野球界で選手側の要望を実現しやすくなる契機になると思うと喜ばしい事だ。と思っていたら、またしても巨人軍の渡辺オーナーが信じられないような事を言い出した。

曰く「代理人を同席させるような選手は巨人軍にはいないはずだ」、曰く「そのようなヤツがいたら年棒を下げてやる」何とも時代遅れの経営者だと思うが、不思議なのは巨人軍の中から何とも異議が出ない事だ。ジャイアンツは人気もあるし、辞めた後はマスコミにも使ってもらいやすいということもあり、変なことを言って辞めさせられるのを恐れているのかもしれない。しかし、この発言はジャイアンツだけでなく、野球界全体に影響が大きい問題なので、今のようにダンマリを決め込むのは非常に拙いと思う。

思い起こせば、ジャイアンツという球団は昔から人気があることを良いことに、横暴で理不尽なことをやってきた。古くは長島の入団、江川の入団、桑田の入団など枚挙に暇がないが、時には法律上も問題になりそうなことを平気でやってきた。現在、私はあまり野球に興味はなくなって、ナイターを見るためにテレビに噛り付くといったこともないが、大学に入った頃までは熱烈な巨人ファンだった。その頃はジャイアンツのナイターは、熱烈に応援しながら見たものだった。あまりに熱をいれすぎるものだから、ジャイアンツが負けたときはがっくり力が抜けた状態になるほどだった。ところがあれは大学の２年生の頃だったろうか、アマチュア野球界の豪腕投手江川を取るために酷いルール破りをして、おまけに自軍のピッチャー小林と交換という形で目的を果たした。

この時は小林投手があまりに可哀相でニュースを聞きながらオイオイ泣いた。それと共にこんな球団を熱心に応援していた自分が恥ずかしくなって、一挙にジャイアンツファンを辞めてしまった。ただし、ナイターを見るのに応援する球団がないのは全く味気ないので、いっそのことジャイアンツを破る勢いのある球団ということで、準フランチャイズとも言える広島カープを応援するようになった。広島はその頃から急に力をつけてきて、確か私が大学生の間に何度かペナントをもぎ取った。この時点で私は溜飲を下げたわけだが、親会社があまり景気が良くなくて、それと共に広島カープの力も落ちていった。その頃からゴルフに熱中したこともあり、次第に野球に対する熱も冷めていって、あれほど熱中したナイターも見なくなった。

少々脱線したようだが、話は戻って、現在の野球選手は代理人を認められないために、非常に不利な契約交渉を余儀なくされていると思う。先日は元ヤクルトのエースだった高野投手の自殺が報道された。あれほどの投手が、一旦プロ野球を辞めた後は生活に困るというのでは、プロを目指す少年に対して、夢がなさ過ぎるように思う。同じ年に生まれたものの中で、プロ野球界に進める者は運動能力や体格に優れた、ほんの一握りのスポーツエリートだけだ。特に高野クラスになると日本中の同級生の中でも、運動能力ではナンバーワンと言っても過言ではないだろう。そんな彼がプロ引退後は失業に悩んで自殺を遂げなければならないとは、あまりに恵まれない職場だと思う。

それもこれも今までプロ野球機構が選手の交渉力のないのを良いことに、選手の待遇を不当に押さえてきたせいだろう。その最たる者が巨人軍の渡辺オーナーだ。少数のスター選手だけが優雅に暮せて、残りの者は将来の生活もどうなるか分からないとしたら、これから先、プロ野球に見を投じようとする若者は激減してくるのではないだろうか。

日本中で無邪気にジャイアンツの応援に熱狂しているファンの方たち！　もうそろそろ金と権威を振りかざして、数々の悪行、横暴なことを繰り返すジャイアンツの正体に気付いても良い頃だと思うが。