師走の景色

今ごろ世の中は忘年会の真っ只中だが、私の場合も同様で、飲み過ぎでいささか疲労困憊気味だ。最近、忘年会が次第に億劫になってきてどうしても参加しなければならない会とか、面白くて是非参加したいと思う会以外は出席しなくなってきた。もちろん自分から忘年会を企画することも皆無で、このところ１２月に５〜７回くらいが忘年会に出席する回数となっている。それでも今の私にとってはハードなスケジュールなようで、あまり誉められたことではないが、時々二日酔での診察になることがある。

よく考えてみると、義理で参加した忘年会は早めに切り上げるので、あまり悪酔いすることはないようだ。自分から面白くて参加した会はどうしても遅くまで飲むことが多く、二日酔になるケースが多い傾向にある。仕事に差し支えるほど飲まなければ良いのだろうが、そこが凡人の悲しさで５０才近くなってもなかなかコントロール出来ないでいる。特に禁煙して以降はタバコで取っていた間がなくなって、余計に酒量が増えたような気がする。

飲み方も若い頃とは変わってきていて、今ではホステスがいるような所にはあまり行かないようになった。友人同士で飲んだり、始めから一緒に飲んでいたグループで、そのままスナックに繰り出して飲むことが多い。それは最近ホステスにもてなくなったという現実もない訳じゃないが、ホステスなどいないほうが飲んでいて楽しいという気持ちもある。けっして歳を取って女性に興味がなくなったというわけではなく、連れとして女性を伴って飲みに行くことは楽しいのだが、仕事としてのホステスの接待に飽きたというべきか、兎に角面白くない。それに騒いで飲むより、酒を味わいながらゆっくり飲むことを次第に好むようになってきた。年齢と共にアルコールの解毒作用も弱まってきたのだろう、飲みすぎると直に翌日に影響する。何だかんだで酒代は若いころと比べると格段に少なくなっている。子供も次第に成長してきて、他にかなりの出費がかさむようになり、酒にあまり金を使うことも許されない状況も影響しているようだ。

娘が来春から私立の薬科大学に行くことになったが、この授業料が目玉が飛び出るくらい高い。我々のように国立で済ませた人間からは、想像だに出来なかった額だ。親は大変だが、そのかわり子供は我々のように目の色を変えて勉強をするということもなく、高校生活をエンジョイしながら少ない入試科目を余裕を持ってこなしていったようだ。娘の場合は、高校３年の一学期まで音大を目指しており、そこから急遽針路変更をして、もちろん文科系のクラスで数学、理化はほとんどしてなかったので、かなりラッキーな合格だった。

娘の世代の受験を見ていると、我々の頃とはかなり違う様相だ。これは我々の頃と生徒数がかなり減っていることが影響しているのかも知れない。部活などに打ちこんでいながら、推薦などで結構自分の志望校に合格している。自分もあのように高校生活をエンジョイできていたら、もう少し高校の３年間が楽しかっただろうとため息が出ることがある。我々の頃はこの受験戦争を勝ちぬかないと、自分の将来は灰色になってしまうと、悲壮な気持ちで机に向かったものだった。

其れやこれや、今後３人の子供の大学卒業までの教育費を考えたりすると、頭の痛い思いで折角の酔いもさめるような気持ちだ。