オーロラの彼方へ

先日、日曜日に予約していたゴルフに行こうと洗顔をしていたら、突然背中にピリッとしたはりを感じた。その時は軽い痛みですぐに治ると思っていたが、治るどころか次第に痛みが増大して、そのうちに立っているのも苦しくなってきた。そこで居間の絨毯の上に横になったら少しは楽になったが、今度は起き上がることが出来ない。どうにかしようと仰向けから横向きになろうとすると背中の激痛で無理だし、妻に腕を引っ張ってもらって起きあがろうとすると、これまた背中の激痛が耐えられない。

楽しみにしていたが、ゴルフどころではないので横になったまま、泣く泣く携帯電話でゴルフ上にキャンセルをいれた。それからそのままの姿勢で、明日の診察のことやその日一日をどうして過ごすかをボンヤリ考えていた。テレビを一時間くらい見ていたら気のせいか痛みが薄らいだように感じたので、こわごわ横向きになってみた。そうすると先ほどの激痛は軽くなり、どうにか横向きになれた。そこで上半身を起こして腕で支えて立ってみた。これもどうにか立つことが出来た。

そのうち、椅子に座っているのが最も楽だということが分かり、その姿勢で午前中はテレビを見ながら安静にしていた。そうこうしているうちにもっと楽になり、これなら外出も出来るのではないかという気になってきた。と言ってもスポーツはまだ恐くてする気になれない。考えている内に映画で「オーロラのかなたへ」がちょうど上映されていることを思い出した。最近、シネコンができて、月に一回くらい映画を見にいくようになっている。そこで上映時間を調べると１時からだったので、妻と昼食を摂ってシネコンに向かった。

「オーロラのかなたへ」は今年見た中では最高の映画だった。オーロラの影響で偶然、３０年前に死んだ父親とハムにより通信できるようになり、お互いに連絡をとりながら父親と母親の命を救うというスジで、家族の愛をテーマにしたストーリーだ。１９６９年の大リーグのワールドシリーズが行われている時で、それが上手く映画のストーリーと絡み合って非常に良い感じの映画に仕上がっている。

実はこの映画を見て一番感じたのは、もっと息子が小さいうちに彼と遊んでいれば良かった、という後悔だった。そのことを帰りの車の中で妻に言ったら「今ごろ気がついてももう遅かったわね。でも私がその分、彼の相手をしたから、良いけど！」と言われた。なにか取り返しのつかない事をしてしまったような気になり、愕然とした。その夜、長女の友達が遊びにきて、久しぶりなので一緒に食事に行こうということになり、一家で焼肉を食べに行った。その場でこの話が話題に上った。長女は「そうかなあ、パパは私とは結構遊んでくれたような記憶があるけど・・・」、妻は「次女とは今だに風呂に入っているのでスキンシップは十分だわね！」と言った・・・・。

そうなのだ、振り返って見ると長女は始めての子だったので、小さい頃から忙しくても暇を見つけて散歩などもよくした。次女は一番下の女の子供なので、今だに可愛くてしょうがない。その反面、どうも長男との関わりが少なかったような気がするのだ。時期的にも大学院を出て大学病院に勤めていた時期にあたり、忙しい上にプライベートではゴルフにうつつを抜かしていたので、今思い出しても長男とは十分に遊んだという実感が無い。今は中３になりもう子供と遊ぶという感じではない・・・・・。

映画では消防士の父親が、子供の自転車の練習や野球の練習に、夜遅くまで付き合っていて羨ましかった。私の親父も暇だったんだろうが、私の野球の練習に鬼コーチとして良く付き合ってくれた。そういう思い出が今となっては非常に懐かしい。長男は私に対してそのような思い出があるのだろうか？　どうもそのような思い出は、ないような気がする。
「後悔先に立たず」・・・・・。