成人式

年末年始の休みのために、前後の診察が忙しくなりこのコラムも休んでいましたが、また再開したいと思うのでよろしく！と言うことで、今回取り上げるのはニュースで話題になっている成人式での若者の騒動だ。ニュースで報道されている、複数の会場での新成人の馬鹿騒ぎはもちろん大問題だが、その会場での主催者の暴れている若者への対応やそれを報道するマスコミや評論家の馬鹿さ加減も相当問題だと思う。これらはいつも問題になる日本の危機管理の欠陥と病根を同じくするもので、それに現代の若者の常識はずれの態度があいまってあのような醜態に及んだものだと思う。ニュースではほとんどの新成人はまともだが、ごく一部の者が常識が無いために起こった事件だと論評していた。しかし、これはどうも納得し難い点がある。

というのは全国の成人式会場の模様が報道されているが、どの会場でも大勢が携帯電話で話していてちゃんと来賓のスピーチを聞いているような状態では無いようだ。また、暴れていた若者も今回逮捕された５人だけではない。また、あれだけ騒いでいながら、周りの新成人の誰もがそれを止めようとせず、全くの傍観者を決め込んでいる。彼ら一般参加者にも責任がないとは言えないだろう。

それにも増して救い難いのは、主催者側の係員だ。市長にあれほどの暴挙を働いた若者を、取り押さえたり会場の外へ出したりする事もなく、ただ笑いながら最前列の席ちかくに戻すだけの信じられないような態度だった。主催者も何を考えているのかどうも理解できない面がある。毎年、成人式では騒ぎが起っているのだから警備をしっかりして、次第にエスカレートしないように毅然たる姿勢を見せておかないといけない。

例えば、あの騒動が欧米で起ったとすると、まず、参加していた新成人によってあの５人はボコボコニされていただろう。あの５人がその他大勢の参加者の権利を侵害したのだから、それくらいは当然予想される。日本みたいにただ傍観する態度ではないだろう。もし、それがなかったとしたら、警備員か警察官により取り押さえられて、即刻会場外につまみ出されるかブタバコ送りだろう。めでたい祝いの席だからそこまでやるのは？という甘ったるい考えは、もう既に通用しない世界になりつつあると思う。

これらの出来事を報道するマスコミや評論家もいい加減にして欲しいと思う。妙に若者に擦り寄った意見が受けると思うのか、悪いのは彼らではなく、彼らを育てた我々大人に責任があるという訳のわからない評論家が結構いる。一見、若者に理解があり世の中の道理を判ったような意見に聞こえるが、この意見自体非常に矛盾していると思う。

それでは本当に悪かったという我々の世代を育てた親父達の世代が悪かったということになり、さらにもっと悪いのは彼らを育てた爺さんの世代だということになる。これではどこまで行っても際限がなく、大きな矛盾を抱えている。今の荒れる子供達の社会現象を考える際に、大人達が悪いので子供が悪くなるのであって子供を罰しても意味がない、という妙に強暴な子供に理解のある評論家がいる。

彼らは本当にそのように思っていっているのか、マスコミ受けが良いように言っているのか分からないが、どちらにせよあまり責任感のある意見ではないと思う。大人に責任があるにせよ、子供の罪は厳格に罰しないとならない。それでこそ法治国家であり、後続の犯罪を抑止できるというものだ。その意味で今回、あの馬鹿騒ぎの５人が主催者に訴えられて逮捕された事は、全く正しい処置だったと思う。

もし今回の騒動後に彼らが野放しになっていたら、仲間内では彼らはある種のヒーローになってしまい、来年は真似をする若者が増えていた可能性が高い。今回の逮捕で、彼らは感情もコントロールできず先の顛末の予測も立たない間抜けなピエロになって、来年の騒動を狙っていた予備軍に冷水をぶっ掛けた格好になった。これこそが暴動の抑止に一番効果的だと思われる。個人的には現在の成人式にはあまり必要性を感じないが、来年の成人式がどのような経過を辿るか興味深いところではある。