首相の資質

今更ながらだが、森首相の一国のリーダーとしての資質が論議されている。数々の失言や首相個人のスキャンダル、政治姿勢などでこれまでも首相としての資質を疑問視されてきた森首相だが、えひめ丸の沈没事件の際の対応についても、野党や与党内部からも痛烈な非難を浴びているようだ。ここまで非難を受けるくらいならいっそのこと辞めてしまえば良いと思うのだが、この首相は妙に打たれ強いと言うか、なかなか退陣に追い込まれるまでに至らない。女性スキャンダルで攻撃されて、あっさり退陣した細川元首相とは大違いだ。

それにしても、これほどマスコミに叩かれるのは、いくらマスコミとの相性が悪いとは言え、首相に問題があるという側面が強いと思う。大体この首相には総理大臣としての品格と言うか重みがまるでない。銀座や赤坂には腰が軽く、いくら非難されても頻繁に出向くくせに、災害地や今回のような緊急事故の際には対策本部に出向くことは嫌がる。

今回のえひめ丸の件でも、自分が対策本部に居ないから対策が遅れたわけでもないとか、本部に居なくても対応はしっかりやったとかいろいろ弁解している。国会開催中に呑気にゴルフをするということ自体、緊張感が欠けていると思うが、この辺りの屁理屈が最も非難されていると言うことが全く分かってない。実際、首相が本部に居ないから対策が遅れるとか十分な対策が出来ないとか、誰も思ってないと思う。そうでなくて、リーダーが可及的速やかに本部に駆けつけて、腰を落ち着けて部下に指示をする態勢が大切なのだ。

何処に居ても指示は出来るからと言って、赤坂の料亭やゴルフ場から指示していたのでは士気にも関わるし、やはり適切な対処を逸する可能性もある。今回の事故でも、首相がブッシュ大統領とのホットラインを使って直ぐに緊急救助を要請したら、９名の行方不明者のうち何名かは助かった可能性があるとの指摘もある。この辺りはどこかの県警で、麻雀をしながらだったが雀荘から適切に指示したので問題はなかった、と大ボケをかました警察署長がいたが、それとあまり変わらないだろう。

森首相にはゴルフ場でのプレー姿や料亭での宴会の顔は浮かんできても、神妙な顔つきの対策本部の顔は想像できない。マスコミのせいもないわけではないだろうが、やはり首相個人の言動がそうさせているのだろう。このような政治家が一国のリーダーの座にいるというのは情けないが、それにしても、どうしてこれほど少数のものしか支持しない政治家が首相になってしまうのだろう。やはり、首相を選ぶシステムに問題があるとしか言えないと思う。

今回の森首相の問題も、元は密室での５人組みによる首相決定に端を発している。自民党の一部の有力政治家による談合政治が問題であって、アメリカのようにリーダーを目指す者が手を挙げて、公明正大に選挙戦を戦い抜いて行くのが首相選挙本来の在るべき姿だろうと思う。
やはり、日本の総理大臣選出の方法は変える時期に来ているのではないか。

そして、今までも言ってきた事だが、政権交代は絶対に必要だと思う。５０年以上も一つの政党が政権を担って行くと、どうしても腐敗が蔓延してくるし、政治家と官僚、業者との腐れ縁も根深いものになっていく。一度、政権交代があれば腐れ縁がリフレッシュされて、腐敗も浄化されるはずだ。それに政権交代があるという状況になれば、あまり悪い事も出来なくなる。政権が変わった時に次ぎの政権によって、悪事を暴かれるからだ。

最近、このコラムで政治の話題が多いと思うが、やはり政治が腐っている事が今の日本の様々の問題の諸悪の根源だろうと思うから、勢いこの話題になってしまう。前回の細川政権のようではなく、しっかりした政権交代が起れば、日本もまだまだ世界に充分通用する国家として再生できると思うのだが・・・・・。