どうも最近、このコラムを書いていて無力感に襲われることが度々ある。それは日本の政治、経済などの基本的な社会機構は本質的な欠陥があり、それはいくら変えようと努力しても変わらないのではないか、という疑念だ。先週、東証平均株価が遂に１２０００円を下回って、この先、どこまで下がるのか見当もつかない。これなどは世界中から非難されている不良債権処理の遅れが原因になっていると思う。以前より早く不良債権を処理しないと、日本発の世界不況の原因になると言われていながら、森首相も料亭で何を話しているのか分からないが、相変わらずの無策で有効な施策はまるで出てこない。
毎度、料亭から出てくるあの呑気な顔を見ていると、「このオッサンに任せておくと、日本は大変なことになるぞ！」という危機感が湧いてくるが、それだからといって信頼感のあるリーダーが首相になる保証もない。日本にも人材はいるはずで、有能なリーダーが舵取りをすれば、まだまだ日本も持ち直す可能性もあると思うが、そのような人材が首相に選ばれない日本の政治システムに大きな問題があると思う。
密室で無能な政治家を首相に決めて、日本全体を危機に陥れて誰もその責任を取らないというこの政治システムはいったい何なんだろう。日本以外ではこのようなケースでは非難が巻き起こって暴動にも発展する可能性があると思うが、怒りを忘れた日本人にはそのような行動はまず起こらないだろう。それどころか若者は全く政治自体に興味を持ってないし、当然、政治家が何をしているのかも全く知ってない。不良債権を早く処理しないと自分たちにも影響して、大きな損害を受けたり資産を失うようなるという事には、まるで気がついてない。将来、給料の半分以上を、税金や保険料で天引きされるような事態になることも全く知らないだろう。２０年後に、給料が実際に半分天引きされるようになって、これでは生活できないと言っても、もう遅いのだが・・・・。
結局、今の時点で日本社会の構造改革に全力に取り組んで、日本の根本的な欠陥を取り除いていくしかないと思う。それは不良債権問題もそうだが、なんでも情報を公開せずに出来るだけ国民の目から隠して、問題の解決を実行せずに先送りにしていく体質を変える必要があると思う。また、競争を避けてなれ合いの談合で解決するような体質も変えていかないと、国際社会では生き残っていけないだろう。
最も変える必要があるのは、日本の政治システムなのは言うまでもないだろう。これはかなりの欠陥システムで、戦後５０年以上にわたって自民党という一党が実質上独占してきたために、凄まじく酷い代物になっている。兎に角しっかりとした政権交代が必要で、アメリカやイギリスのような２大政党による政権交代が行われるだけで、多くの欠陥は修正されると思う。
例えば、今新聞を賑わしている外務省機密費の不正使用問題などだ。松尾というノンキャリア一人に罪を擦り付けようとしているが、実はキャリアの外交官全員の機密費不正使用だと暴かれており、寧ろそちらの方が問題は深刻だと思う。これなどは政権が変わると直ぐに不正が暴露されるから、外交官もあのような機密費の不正使用は出来なくなる。一事が万事でかなりの腐敗は、政権交代がない事に起因していると思う。
兎に角、今の日本は自民党の料亭政治による現状維持政策ではどうしようもないほどの危機に瀕しており、政権交代を含む根本的な改革が必要と思われる。今が大事で、この時期を逃すと将来は悲惨な結果が待っている、と言わざるを得ない。