地殻変動

自民党の総裁選は全く予想外の結果に終わった。ほとんど勝てる見込みのないと思われていた小泉純一郎の大勝利だ。最大派閥で栄華を誇った自民党橋本派が田中派以来初めての敗北を味わったことになる。今回は一般ではなく、自民党員による選挙だから余計に信じられない気持ちだ。まさに小泉氏自身が言うように地殻変動だ。当の本人の小泉氏自身が信じられないと言っているのだから、マスコミや我々が予想出来なかったのも致し方ないと言うべきか？

しかし、まず変わることがないと思われていた自民党が、自民党員自身の手で変わっていくのは誰も気づかなかっただけに衝撃が大きい。多分、自民党内で実力者といわれている長老や派閥の存在にも大きな影響を与えざるを得ない。あの権力を誇った野中前幹事長も落ち目の三度笠になるだろう。カビだらけの自民党が大きく変化または消滅していくターニングポイントになるものと思う。

今後、自民党の将来は小泉総理がどの様な内閣を作って、どのように公約を実現させていくかという点にかかっている。従来のように彼が派閥の圧力で派閥の均衡を取るような大臣を並べるようだと、今度こそ自民党は終わりだろう。そこまで自民党員と国民は煮詰まっているといえる。呑気に派閥や自身の勢力争いをしているのは永田町の政治家だけだろう。

永田町のどうしようもない連中はこの期に及んでもいろいろ言っているようだが、まるで自分たちのおかれている状況が分かってない。巨大な氷山に向かって進んでいるタイタニックの上で、大臣のいすを狙ったり金儲けの算段をしているに過ぎない。このままでは何処にいてもいずれ沈没は免れないだろう。本当に大事なのはどの進路を取れば氷山に衝突しないかを考えないといけないのに、依然として陣取り合戦に全精力をかけている。本当にどうしようもない人間たちだ。

実は、私としては寿命の切れかかった自民党にこの際はっきり引導を渡すために、橋本氏に総理総裁になってもらい、参院選で大敗北を喫してもらいたかった。しかし、小泉氏が総理になるのなら思い切った大改革を実行してもらって、自民党を従来の柵にまみれた腐敗政党から脱皮し利権がらみのバラマキ政治を止め、政界再編まで行くような変革をしてほしいと希望する。少々甘いかもしれないが、今度は本当に日本が変わっていく可能性があると思っている。

小泉氏がこれほど期待されながら、それを裏切って派閥の要求どおりに人事を進め、従来の自民党政治と変わらない政策を進めていくなら、そのときは本当に自民党の最後だろう。その時は野党を巻き込んだ政界大再編が起こって、本当の意味で世界に通用する国になっていく可能性もある。