王さん、正々堂々と！

王監督の持っているホームランの日本記録に５５号で並んでいるローズ選手に対して、ダイエー・ホークスの選手が露骨な敬遠をしている。以前、阪神のバース選手があと一本で王監督の記録に並ぶという時にも、やはり当時、王が監督を務めていた巨人軍から露骨に敬遠された。これは日本人として非常に恥ずべき事で、直情型の私なんか「お前ら、そんなに勝負するのが嫌なら野球なんか止めてしまえ！」と言いたくなるくらいの行為だ。普段は行動の遅いプロ野球コミッショナーからも直ぐに苦言が呈されたほどだ。

ところが不思議なのは、あの人格者と評される王監督が「攻め方は選手に任せてある」とか「これも勝負のあやです」などと呑気なコメントを発している事だ。バースの敬遠の時も選手に勝負を勧めるコメントはなかったように記憶している。これはどういう事だろうか？そうでなくても記録を持っている自分が監督をしているのだから、選手はやり難いはずで、監督が正々堂々と勝負する事を指示しなければ、選手はどうしても監督に気を使ってバッターとの勝負を逃げてしまうだろう。と言うことは、王監督が言わなければ、ダイエーの選手は勝負を避けるしか選択肢はない訳だ。

それは王監督も分かっているはずで、それでも勝負を避ける行為を止めさせないとすると、王監督の人格にも関わってくる問題だと思う。そうまでして新記録を阻止しても、誰もそんな日本記録を本物とは認めないだろう。それが理解できない王監督ではないと思うのだが、監督のコメントはあまりに寂しい。これはあやなんというものではなく、明らかに恣意的であり本当に恥ずかしい行為だ。

メジャーリーグでイチローが新人のヒット数の新記録を作ったときも投手は全力で勝負していたし、もし露骨に逃げたら観客からブーイングの嵐を浴びるだろう。この辺りは争いを好まない日本人気質とチャレンジャー精神にとんだアメリカ人の差が大きいのかもしれない。とは言っても、時折テレビなどで見る韓国や台湾の野球でも日本ほど逃げることはないようだ。やはり日本の野球は世界的に見ても少々異質だ。

折りしも、ボンズ選手のホームラン世界記録が目前で、アメリカでも勝負を避けたような場面が報道されていた。マスコミなどで非難されていたが、これは日本のように監督に配慮するのと違い、投手本人が打たれたくなくてそのような結果になっているようだ。と言うのは、アメリカでは試合数が多いので、まだ優勝が決まってない。そこでホームランを阻止すると言うより、勝負に勝つために強打者との勝負を避けたという状況のようだ。日本のように、既に優勝も決まっているのにもかかわらず、自軍の監督の持っている記録を破られたくないために敬遠するという恥ずべき行為とはかなり違うと思う。

こんな事を続けていると、今でさえ落ち続けているプロ野球人気がさらに落ちて、その内、メジャースポーツとは言えないようになるのではないだろうか？ 　 王さん！　この恥ずかしい行為を止めさせることが出来るのは、貴方しかいませんよ！