どうしようもない官僚

田中真紀子外相が外務省や自民党の政治家の集中砲火的な嫌がらせを受けている。国会審議を口実に国連総会への出席を止められ、また官僚しか出席してない会議において外相に不利なリークが多数出てきている。これは以前からあったのだが、最近はリークが酷すぎる気がする。外相も官僚も子供の喧嘩のレベルで戦いを繰り広げている。まるで場外乱闘のバトルロワイヤルのようだが、日本の官僚はどうしようもないほどレベルが落ちてきているし、それだけに既得権益にしがみついて自分の保身にしか興味がなくなっているようだ。

今朝の朝日系のテレビ報道によると、アメリカのマスコミでは笑いものになっているようだ。内田特派員がレポートしていたが、日本では外相が外務官僚と政治家により虐めを受けており、新聞やテレビの報道が官僚のリークに乗ってその虐めを煽っている状態だと受け取っているようだ。欧米のマスコミが驚いているのは、官僚がボスであるはずの大臣の言う事を聞かないばかりか不利なリーク情報を無数に漏らしていることだ。こんなことは世界中で共産国や警察国家を除けば、日本だけだろう。

国民の利益のために仕える公僕が、自分たちの省益や保身のためにだけを考えて、国民が選んだ大臣を害する行動をしていることは、彼らには全く信じられない事のようだ。いままで何回も述べてきたように、日本の官僚は世界的に見ても特異な存在で、著しく日本の利益を逸している。と言うより、日本の財産を食い物にして一生を優雅に暮らしていくシステムを作り上げていて、それはよほどの事がない限り壊されることはないだろう。今回の小泉首相の構造改革が千載一遇のチャンスだが、どうも尻つぼみになりそうな予感がしつつある。 それを批判するはずの新聞などのマスコミがリーク記事に載って喜んで踊っている状態だから、これはもうどうしようもない状態だと頭を抱えたくなる。新聞も昔は反骨精神に溢れた野武士集団だったのが、いまではスマートなエリートのエスタブリッシュになってしまったのか？　とにかく今回のことでは鉄砲を打つ方向を全く間違っているのを気づかないのだろうか。

ただし、田中真紀子外相にも大きい責任がある。外務官僚がいくら妨害しても、国民の世論は強いバックアップをしているのだから、外相さえ適切な活動をしていればいくらでも対抗策は取れるはずだ。しかし、外相の場合はあまりに失態が多くて敵に塩を送っている状態になっている。外国からの要人との面会をすっぽかしたり、外国訪問を取りやめたり、公衆の面前で秘書官をしかり付けたりでどうも脇が甘すぎる。いわば自殺点で、こんなところを官僚に付け込まれて苦戦を強いられていると思われる。

結局、苦労人だったお父さんとは正反対のお嬢さんで、人の苦労や心情を慮る面に欠けるのだろう。それが人使いの拙さに繋がり余計な苦労をするはめに陥っていると思う。本当は官僚の方に多くの問題があって、悪いのは官僚なのにその改革者の外相が窮地に追い詰められているのは、まさにこの人使いの拙さによるところが大きいと思われる。

とにかく、この日本の官僚制度は根本的に変えないと日本の国が潰れてしまうところまで来ているので、新聞やテレビも官僚の背中に乗らないで、本当に重要なことは何なのかを見極めて報道して欲しいものだ。また、政治家も一女性に個人攻撃の集中砲火を浴びせて喜んでないで、国の利益と言うものをしっかり追及して欲しい。