春雨

雨天が好きな人は少ないだろうが、私の場合もゴルフをする関係から日曜日に雨が降ると本当にがっかりする。月に３回くらいあるゴルフのラウンドの日は、一週間前から天気予報でチェックしている。その際に、ゴルフ予定の日を挟んで前後三日くらいが雨だと気も重くなってくる。この様な状態では、どっちにずれても雨中のゴルフとなる可能性が高いから、時にはキャンセルの言い訳を探そうという誘惑に駈られたりする。そういう私でも、春雨だけはあまり嫌な気分にはならない。ゴルフの日に土砂降りになるのはさすがに勘弁して欲しいが、週日の春雨はそう悪いものではない。

私は毎日徒歩通勤しているが、そういう時に春雨に遭うのはなかなか気持ち良いものだ。厳冬の２月から若葉が芽吹きだす３月に移って、シトシトと落ちる春雨の中を靄に包まれながら歩いていると、四季に恵まれた日本の素晴らしさを感じる。これは自分の足で歩いている人にしか分からないのではないだろうか。　実に気持ち良い気分であり、脳内ホルモンのベータ・エンドルフィンがドクドクと出ているのだろうと思う。

何時の間にか、小径の両側には草花の緑が目立ち始め、地中に隠れていた生命がいっせいに噴出してくる様には感動を覚える。この時期の景色に春雨は相応しい雰囲気を与える。この情景は古代からの日本人の遺伝子に刷り込まれているのだろうか、妙に気持ちの良いものだ。尤もこれも程度問題で、大粒の雨になると始めから車で通勤してしまうので、やはり小雨がベストだ。しかし、何時もそう都合の良い事ばかりではなく、全く雨が降らないか大雨のこともしばしばだ。それだけに期待した通りのシトシトした小雨の時は朝から清々しい気分になるものだ。

それにしても四季がこれほど豊かな国はかなり少ないのではないだろうか。以前、テレビで放送されていたが、世界中で四季がはっきりしている地域は地球上でもかなり狭い緯度の地域に限られているということだった。考えてみれば、暑過ぎず寒すぎず、また気候が温暖でもハワイのように常夏では間延びしてしまうし、寒暖差の大きい大陸の気候では日常生活は厳しい。

ヨーロッパは全体的に北に位置しているので、暖流の影響の少ない内陸部などはかなり冬が永いし厳しい。ヨーロッパで温暖と言えるのは地中海沿岸だけではないだろうか。北欧は言うに及ばず、以前訪れたフランスなども１１月の時点でかなり寒かった記憶がある。我々は普段それほど意識しないが、こんなに自然に恵まれた国に住んでいるのだから、この自然に感謝してもっと四季を楽しまないと勿体ないと思う。

ウオーキングは一年中いつでも気持ち良いものだが、特にこの時期のウオーキングはどの季節にもまして素晴らしい感動を覚えるものだ。おまけに健康にもすこぶる良いとくるから、ウオーキングは歩けなくなるまでは一生止められないだろう。と言うことで、暫らくは春雨を期待しつつ散策を楽しむことにしよう。