辻元問題

国会は不祥事の暴き合いで、ドロドロの泥仕合になる様相を見せている。マスコミでは今や、鈴木宗夫代議士の国会での追及の急先鋒だった辻元清美代議士の秘書給料詐取疑惑の追及がメインテーマになって来ているが、これは鈴木宗夫代議士に対する攻撃への腹癒せの可能性もあるようだ。自民党の対処があまりに素早い上に、どうも始めから証拠を掴んでいて出版社にリークしたフシがある。辻本議員には鈴木宗夫代議士の追及している時に、かなりえげつない脅迫電話が頻繁にかかって来ていたようだ。

それにしても今回の週刊新潮の取り上げ方や時期には何やら黒い影が漂っているように思う。この時期にこの様な記事を載せると話題になって雑誌はバカ売れするのは容易く想像できるが、だからと言って、権力者の策略どおりに提供された情報を記事にしていくというのはどう見ても反骨のジャーナリズムとは全く対極のスタンスだと思う。確かに、辻元氏の行った行為は法的にも許される事ではないにしても、今回の件は過去の問題だし、鈴木氏のケニヤODA疑惑や北方４島返還問題の疑惑と比べればあまりに小さい違法行為だと思う。

小政党は自民党のように企業献金が舞い込んでくるわけではなく、小さな資金のやり繰りで政治活動を続けていく必要がある。そのためにはある程度セコイやり繰りも必要だったのだろう。今回のように、自民党の有力議員の不正追及をすると、過去のやり繰りの問題を持ち出されて辞任に追い込まれるというであれば、野党議員は自民党の権力者の不正追及など困難になる。

この様な苦しいやり繰りは自民党には必要のないものだが、これは小政党の宿命みたいなものだ。逆に自民党はその辺りの小政党の弱点を知っているので、今回のような野党による自民党代議士の悪行追及などの際には、自民党はこの弱点を突いてくるのはある程度予想できる。しかし、それにダボハゼのように食いついていくジャーナリズムの姿勢は余りにも寂しい。言ってみれば、小悪を叩いて巨悪を見過ごすという、ジャーナリズムとしては最も避けるべきスタンスに立っているようで、この卑屈な態度はどうにかならないかと思う。

昨夜、遂に辻元氏は議員辞職に追い込まれた。自民党にとっては最高の腹いせになるとともに、今後の不正追及の旗手がいなくなるという大きなメリットも生じるので二重の喜びだろう。多分、自民党はあっさり辞任に追い込むような事はせずに出来るだけこの問題を長引かせたかったはずだ。この問題が短期間に片付けば困るのは自民党のはずで、参考人招致、証人喚問など出来る限り引っ張りたかったのだろう。今回、辻元氏は出来るだけ早く辞任した方が今後のためには良かったと思う。また彼女ならいずれ返り咲きが可能だろう。どちらにせよ今回のことで鈴木宗夫代議士の不正追及にブレーキがかかるようなことがあってはならない。何しろ、彼女と鈴木代議士の犯した違法行為は、悪質さにおいて、ノミと象くらいの差があるのだから。

それにしても今回の辻元氏の違法行為に関して、社民党が組織として深く関与していた可能性が皆無という訳ではないようだ。万が一、そのような事があったとしたら、鈴木宗男代議士の疑惑追求どころではなく、社民党の存在自体を揺さぶる事件に発展しそうな不気味な先行きである・・・・。