福岡県の２つの事件

最近、北九州市と久留米市で起こった事件が世間を騒がせている。北九州市の方は少女監禁事件から判明し、次第に殺人事件へ発展しそうな雲行きだ。久留米市のほうは看護師４人が夫などを殺害し保険金を詐取したというものだ。このどちらもマスコミ等でかなり話題になっているが、それはこの２件とも従来に無かったタイプの事件だからだろう。

時代のせいか、最近どうも犯罪の様相も変わって来ている気がする。今回の２件はまさにその典型で、今までの常識では推し量れない面がある。久留米の看護師４人が夫や仲間の母親を殺害しようとした事件はまったく理解しがたい。女性４人が永い年月にわたって仲良しグループを作って交際を続けていくというのは、そう珍しい事ではないだろう。しかし、その女性達が結託して夫など身内の人間を殺害するという事件は今まで無かったのではないだろうか。

しかも、白衣の天使とは言わないまでも、医療従事者が医学的な知識を悪用して殺人に及ぶというのは、一体どういう心理なのだろう。普通は医療従事者の場合、職業上の知識は殺人などの悪事には最後まで使いたくないという心理的な障壁があると思われるが、この場合はそんなことは微塵も感じられない。むしろ、チューブを使って胃にウィスキーを注ぎ込んだりインシュリンを注射したり、やりたい放題の感じがする。これらは殺人としての証拠が残りにくいので、事前に予備知識を持ってないと警察がこの手の殺人を暴くのはほとんど不可能だろう。

今回の件でも、吉田容疑者が仲間を脅迫してなければ、石井容疑者は警察に駆け込む事もなく完全犯罪が完成していただろう。今後は警察も少しでも通常死と異なる点があった場合は、血液や臓器を残しておくなどの対策を採っておかないと、この手の犯罪を見過ごす可能性が高くなってくると思う。今回の件では仲間内のもう一人の夫も、同様の手口で殺害されている可能性が浮かび上がって来ている。北九州市の件でも少女の父親が殺害されている可能性が指摘されていて、今後の捜査次第ではこれも殺人事件に発展しそうだ。

福岡県だけでもこれだけの事件が見過ごされてきたのだから、日本全国ではいったい何十件の保険金殺人や配偶者の殺人が完全犯罪で闇に葬られているのか空恐ろしい感じだ。きっと判明しているのは氷山の一角なのだろう。昔と比べて、犯罪のたがが外された感じを受ける。今後、日本も外国人が流入して国際社会になっていくだろうし、犯罪にも国際的な面が出てくると思われる。日本人も平和ボケした従来の態度を改めて、常に警戒感を持って社会生活を送る必要が生じるだろう。世智辛く落ち着かないかもしれないが、そういう社会に成りつつあるということだ。