偽装肉代金の返金騒動

肉の偽装事件に関して、札幌の西友が消費者に肉の購入代金を返却するという処置を決めた。その際に、レシートなしでもオーケーで、消費者の申告どおりに代金を返却するという告知を行なったものだから、大変な事態になった。そのスーパーには普段あまり見ないような茶髪でピアスをはめたような若者などが次々に殺到して、１３８０万円の肉販売に対して５０００万円弱の返金が要求される事態になった。その挙句に、返金が中止になったと聞くと、従業員に毒づいたり暴行までする者まで現われた。後で調べると、日頃その店で買い物をしている主婦などは３割で、７割は普段その店を利用してない地域に住む者達と言うから酷い話だ。

なかには９８万円も返金を要求した者もいるという。結局、２人が暴行容疑などで逮捕されているが、彼らもその店で肉を購入したことはなく携帯のメールを見て「西友に行けば、金がもらえる」と言って集まったのだった。ある女性などは仕事を休んでここに来たのになぜ返金しないのかと抗議していた。こんな事で仕事を休まれる会社は堪ったものではないだろうが、これからはこんな若者が世の中で増えていくのかもしれない。

この事件を見ていてかなりショッキングだったし、またいろいろな示唆を含んだ騒動だったと思う。まず西友はどうしてレシートなしの自己申告で返金することを決めたのか。こんなことは日本以外ではまず考えられない事だろう。外国ではこんな処置をすると、悪人が集まってきて収集がつかなくなる事くらい幼稚園児でも分かるはずだ。やはり世界一治安の良い日本だからこその騒動だろうが、日本ももうそのような呑気な世の中ではなくなってくるのだろう。

今回の処置はある意味で西友の誠意だと思うし、まともな日本人を対象にしているのであれば今回の処置で問題なかったのだろう。その意味で西友の責任者を糾弾するのは、この際考える必要はないのではないだろうか。しかし、今後はすきを見せると付けこんで来る犯罪者のことを念頭において事に当たらないと、とんでもない犯罪に巻き込まれる可能性だって出てくると思われる。また日本経済も以前のように豊かな状態は続かないだろうし、悪いことをしても金が欲しいという者が従来より増えてくるに違いない。これは日本も欧米型の犯罪社会に入り込んでいる象徴的な騒動なのかもしれない。

西友の従業員に毒づいている若者達を見ると、どうも今までの日本人とは異種な人間に思える。そのスーパーの近くの主婦が言っていたが、返金のために並んでいたら携帯で連絡を取ってあっという間に２０人くらいが集まってきて、その主婦の前に割り込んできたという。こういう光景があちこちで見られたようだ。これなんかは今までになかった事態で、携帯やホームページなどで連絡を取って短時間の間に仲間が集まることも予想しておかないとならないだろう。今回、初めは少数だった返金希望者が２日後に１０倍以上までも急速に増えていったのは携帯で連絡を取り合った若者グループが中心のようだ。彼らには物事の善悪より仲間との乗りや金が手に入れば良いという気持ちが強いように思える。もちろん、私の周辺にも素晴らしい若者や真面目な者も多くいるが、どうも以前と比べると怪しい若者も多くなっているようだ。

これからは日本も欧米型の犯罪社会を前提にして、行動し対処する必要があると思われる。以前から私も指摘しているように、日本はこれから先、給料の半分を天引きされるようになるはずだし、それより前にそんな給料を貰える仕事さえ少なくなる社会になると思う。そうなると確実に犯罪は増加するだろうし、治安も悪化の一途をたどるだろう。もう我々はそのような社会に入りつつあることを自覚しなければならない所へ来ているということだろう。そんなことを感じさせられた今回の騒動だった。それにしても西友に集まって荒れていた若者は、もっと政治や社会の不正に対して怒るべきだろう。あのような品のない騒ぎを起こしているようでは、悪徳政治家や官僚は安泰で、今後も税金を無駄に使い続けて私腹を肥やしていくのだろうが・・・・。