猫背

何時の頃からか、猫背を指摘されるようになった。高校生の頃、母親から「最近気がついたけど、あんたは猫背のようだから意識して治さないと癖になるよ」と言われたのが、記憶に残っている最初だろうか。その後も何度か、母親からは注意されたが、親父は反対に、「背の高い男はどうしても猫背になるのは仕方ない、気にしなくても良い！　俺だって昔から猫背と言われたものだ」と意見が統一されてなくて、そのせいか私もあまり気にする事が無かった。確かに、父親は大正生まれながら１７５センチあり、その当時の大人としては相当背が高かったし、そのせいか多少猫背だった。その後も何人かに猫背を指摘されたことがあったが、それほど気になることも無かった。

次に猫背を注意されだしたのが、結婚後に妻からだった。これは多少気になりだした。と言うのは、今までは母親以外は同じ人間から何度も猫背を指摘されたことはなく、妻からは折に触れて何度も指摘されるので否が応でも気になる。特に結婚式などスーツを着て一緒に出席する機会に言われることが多かった。確かにスーツなどを身につけたフォーマルな場ではやはり背筋をすっと伸ばしていたほうが様になる。だから私もそのような場では気をつけて背筋を伸ばすようにしたものだった。しかし、そんな付け焼刃が続くはずも無く、ふと気がつくと元に戻っていることの繰り返しだった。そんな状態で、妻も言っても無駄と思ったのかいつの間にか猫背を指摘することがなくなった。

そのまま２０年近く経過して、最近また猫背が気になるような事があった。ある日ゴルフ場での話だが、友人が「北尾君は〇月〇日、ゴルフに来ていただろう。遠くからだったけどあの背を丸めた格好はすぐ分かったよ！」なんて言われて、自分の猫背を再認識することになった。これはどうも本気で治さないといけないと思うようになった。今まで４０年近く猫背でいて今更と思うかもしれないが、これには幾つかの理由がある。

一つは中部銀次郎氏の著書に「ゴルフで一番大事なのはアドレス（姿勢）であって、練習場でただ多くの球を打てば上手くなるかといえば決してそんなことはない。普段の生活で背筋を伸ばす習慣をつけるだけでもゴルフの技術は相当上達する。それはスウィングで大事な体の軸が出来やすいからだ」というフレーズが何度も登場する。彼ほどの達人がそれほど力説するのなら試してみない手はない。しかも汗だくになってボールを数多く打つ必要もないのだ。

さらに最近、ＮＨＫでウオーキングにおいて背筋を延ばして大股で歩くと姿勢が良くなるばかりでなくダイエットにもかなり効果があるとの放送があった。これは普通に歩くのと背筋を伸ばして大股で歩くのを比較して、１ヶ月くらいで体重に２~３キロ差が出ることを立証していた。私はここ５年以上毎日徒歩通勤しているので、これは是非試してみようと思った。毎日の通勤をチョッと気を配るだけでダイエットにもなり、ゴルフも上手くなるとすればこんな夢のような話はない。

そのような経過で約２ヶ月前から試みているが、その結果は悪くない。４０年以上付き合った猫背も意外と矯正は難しくないということが分かった。後頭部を後上方に持ち上げるような気持ちで背筋を伸ばすと意外と簡単に猫背は矯正できる。またそのほうが大股で歩くのにも相性が良いようだ。体重も僅か２〜３キロだが減って、友人達からも「最近痩せたんじゃないの？」と言われるようになった。もっとも脚は筋肉がついてむしろ太くなっている感じで、ウェストなどが引き締まっての２キロ減のようだ。

さらに現在、この暑さと大股のウオーキングでかなり汗をかくために、帰宅後のビールやそれに付随してのツマミの量は増えている。と言うことは、十分に食べてなおかつ痩せるという食いしん坊にとっては都合の良いダイエットになっているのではないだろうか。今のところ残念ながらゴルフへの影響は見られないようだが、これでゴルフも上達してダイエット出来てさらに姿勢も良くなるとなると、読者には余りに出来すぎとの感も否めないかもしれない。その辺りを含めて、また２〜３ヶ月後にその経過を報告させてもらおうと思う。