同級生

今年５０歳を迎えるのを契機に、先週の連休に高校の同窓会が開催された。高校の同窓会はここ５年くらい開催されておらず、しかも今回は我々の卒業した高校だけでなく同じ下関地区の男子校や女子校にも声をかけたので、なんと２００名に及ぶ同級生が集まることになった。地元よりも他地区からの参加者が多く、やはり東京からがもっとも多かった。私も参加の返事を出していたので、その日は仕事を終えると車を飛ばして関門海峡を渡ってすぐの所にある宿泊予定のホテルにチェックインした。その後海岸沿いに関門海峡の風景を楽しみながら、会場のホテルまで歩いていった。その時には既に会場の前に同級生の大集団が溢れ返っていた。

指定されたテーブルに着くと、そこには懐かしい同級生が座っていた。１テーブル１０人くらいだったが、気がつくと１０人のうち５人が医者で、この５人は仕事柄接触もあり今まで何度も会っていた。ところが中には卒業以来３２年ぶりに会ったような同級生も結構居た。名古屋在住で建築家のＹ君はその中の一人で「オウ、北尾君」と離れたテーブルからやって来た彼と話し出したが、始めそんなに永い間会ってなかったとは思わなかった。途中で彼から指摘されて始めて気がついたが、それは彼が高校時代とほとんど外見の変化なかったのと、毎年年賀状を交換していたせいだろうか。

２００人もいると会話を交わした人間は少数でほとんどは挨拶すらしない状態だった。中には２次会で話そうと思っていた同級生も４つあった２次会会場で逸れて、結局コンタクトを取れないままで終わった者も多かった。気がつくと２次会でも数人の人間とだけ長時間話しこんでいて、お開きの挨拶で腰を上げたときはなんと１時を過ぎていた。その後は名残惜しみながら数人でホテルまで歩いて帰った。

翌日は同級生のゴルフコンペだったが、前夜飲みすぎてダウンした数人を除く１６人で開催された。スタート前に同級生が１番ティーインググランドで他愛もない雑談をしていたがこれが腹を抱えるほど面白かった。野球部だったHa君は年間５０ラウンドをこなすゴルフ好きだが、いまだにハンディキャップが２４とかなり下手だった。普通野球をやっていた者は上達も速いのでこれは意外だった。他の同級生は「年間それ程多くラウンドしていて、そんなハンディキャップに留まるというのは逆の意味で難しいことだ」などと茶化していた。そんなHa君は前半４７で回ってかなり強気で後半をスタートしていったが、結局ちゃんと１００を打っていた。

それとは逆の意味で、Huと I 君には驚かされた。彼等２人はゴルフを普段あまりプレーしてないのにもかかわらずかなり上手い。この日一緒にラウンドしたHu君は公式テニス部だったが、昔から器用でこの日も綺麗なフォームで素晴らしい球を打っていた。それだけでなく数多くのラウンド経験の必要な難度の高いトラブルショットに於いてもいとも簡単にやってのけていた。I君は柔道部だったが、学生時代から身体能力が高くまた骨格が頑丈でスポーツは万能だった。この日も後ろから見ていると、随所でパワフルなショットを披露していた。二人とも最後は経験不足のせいで大叩きしていたが、それでも９０代前半でラウンドしてきてこの日は不調だった私も危うく負けるところだった。

その日、I君は私の車でゴルフ場まで行くことになり、道すがら彼といろいろ話した。彼は数少ない山陰の出身だったが、高校へは一番で入学してきて在学中はそのまま優等生だった。現役で京都大学工学部に進んで、修士課程を終えて三菱重工に入った。入社以来一貫してシステム開発の仕事をしているらしくかなり専門的な話を披露してくれた。いつもは医療界の人間ばかりと付き合っていて、このような分野の話はほとんど聴くことはないので大変興味深かった。そのような同窓会だったが、同級生が全国に散らばっていて毎年開催出来ないのが残念ではある。 この歳になると同窓会は格別懐かしいもので、彼らと年に一度は会って旧交を暖めたいものだ。