ロリコン？

最近は奇妙な事件が頻発して少々のことでは驚かなくなってきているが、この事件のニュースを聞いた時にはひっくり返るくらい驚いた。早稲田大学教授の植草一秀氏が女子高生のスカートのなかを手鏡で覗いていたとして捕まった。しかも単なる気の迷いなどではなく 、ＪＲ横浜駅から挙動不審で公安官に目をつけられて品川駅で犯行に及んだ所を捕まえられたものだ。しかも今回が初犯ではなく以前にも一度捕まっていて、最低でも２回目の犯行ということになる。彼の日頃のテレビでの発言を聞いていると、理路整然として素人にもわかりやすい話し振りは非常に好感が持てていたので、今回の事件は誠に残念だし始めは信じられなかった。

と言うのは、彼はこのような事件を起こす人間とはまったく対極に居る人だと思っていたからだ。今まで私の抱いていた彼のイメージは、優秀だが冷徹な経済評論家で 全てに於いて如才がない。さまざまな事象をことごとく冷静に判断して、けっして自分のキャリアアップの障害になるような行動は取らない。このようなものだったから、今回の事件のように一発で今までの人生が台無しになるような破廉恥な事件は、例え世の中の多くの人がしでかしたとしても彼自身はどう転んでも起こす筈はないと思っていた。

彼の経歴はざっと見ただけでも、これ以上の人は居ないのではないだろうかと思われるほどだ。東京大学を優秀な成績で卒業して大蔵省やスタンフォード大学の研究員を勤め、京都大学助教授、野村総研の研究員を経て早稲田大学教授まで登りつめている。経済関係の著作だけでも２５０冊にものぼる。頭脳明晰、弁舌爽やかなのでマスコミにはピッタリとはまるのだろう、どこの放送局でも引っ張りだこで、私の好きな経済関係のテレビ番組では頻繁に登場してくる。まさにこれ以上のマスコミの寵児は居ないのではないだろうかと思われるほどだ。

そんな彼がどうしてこのような事件を起こしたのだろうか？　これが最も分らないところで、また今日の社会の病巣を反映しているのではないだろうか？　何か判らないが、社会全体がおかしくなってきていると考えざるを得ない事件が多すぎる。彼にしても自分の人生を犠牲にしてまでも やるような事ではないということは分り切っていただろうに、それでもあの冷静なインテリの彼がそれをやってしまった。現代社会のストレスからなのか、もともと心の奥底に何かどす黒いものを抱えていたのか、それはわからないが彼のような冷静な人間が行なったというところに病巣の深さがあるように思われる。

近頃はニュースなどでも教師が痴漢行為で捕まったりで、以前では想像も出来ないような破廉恥な事件が頻繁に起こっている。そのような一連の事件の報道に接していて一番気になるのは、一見理性的で分別もありそうな大人が女子高生や中学生 、小学生など子供に異常な興味を示している点だ。日本社会が元気いっぱいで青年のような活気のあった時期から少子化によってあまりに急速に老齢化する社会が抱えることになる病理が影響しているのだろうか。なんやらまともでない社会になっていく前兆のような気がしてならない。