中国の反日感情

サッカーのアジアカップが中国で開催されているが、日本は昨日のバーレーンとの激戦を戦い抜いて決勝に駒を進めることになった。日本は前回優勝し当然今回も優勝を狙っているが、アジアのレベルも相当高くなっていてそう簡単に目的を達成できるような状態ではない。実際、準々決勝も１対１のまま延長戦も引き分けてＰＫ戦もほとんど負けを覚悟するような状態だったが、奇跡的に大逆転で勝ち残った。 バーレーンとの試合もほとんど負けが決まったような状態からの逆転だった。日本チームの健闘に大きな拍手を送りたい気持ちだが、どうもこの戦いが行われている中国では 不穏な空気が流れている。君が代の斉唱の時もブーイングが渦巻いていて、日本チームの応援団には食べ物やペットボトルが投げ込まれている。日本はどのチームと対戦してもアウェーの状態で、重慶 や済南の反日感情は相当に酷い。これは以前から反日色の強い中国のメディアでさえ「スポーツと政治を混同するな！」という記事を載せるほどだ。

この中国側の反日行動はテレビなどで見ていても非常に不快感をもよおすほどで、日本のサポーターに物を投げたり中国の女性でも中指を突き立てたり親指を地面に向けてブーイングを浴びせている。 マスコミの質問にも「日本が嫌いだから・・・・」と反日感情を隠さない。こんな状態では日本チームも本領を発揮するのは難しいのではないかと心配するほどだ。日本政府はこの事態を静観しているが、これははっきりと不快感を表明するべきだろう。スポーツ大会のために 中国に行ったのに、そこでスポーツとは無関係にその国の多くの国民から罵倒されるのであればスポーツのチーム員としてはやりきれないだろう。この中国の国民は大人気ないしもっとスポーツを楽しむ余裕を持たないと、今後控えているオリンピックでも同じような態度を取るのではないかと他国から思われてもしょうがないだろう。

ただしこの辺りは日本とは国民性が違っていることも影響しているかもしれない。日本国民があまり好印象をもってない国のサッカーチームが来日して試合をしてもこんなことはまずないだろう。内心はともかく一応わが国を訪れる人々に対しては冷静に迎えるのではないだろうか。 ただし日本のような穏やかの国民性が世界の標準だと考えるのも要注意だが・・・。それとこの問題には加害者と被害者の違いという面もあるのかも知れない。６０年以上前、日本は何もしていない中国を侵略して、重慶に地獄のような爆撃を加え １万人以上を殺しているのだ。危害を加えたほうはもう記憶にないかもしれないが、被害を受けたほうはそう簡単には忘れるわけはない。

もう１５年も前だろうか、私も驚くような経験がしたことがある。ある薬剤師が私の医院に関係する薬局に就職することになり挨拶にきた。挨拶をすまして談笑していた時、急に彼女の顔色が変わった。私は一体どうしたのかと驚いたが、それは私が下関育ちだと 分かった時で、実は彼女は会津若松の出身だった。穏やかそうな彼女が「私はその人の出身地で誰がどうとは思いませんが、長州だけは例外です。どうしてもわだかまりを捨て去ることが出来ません」と言うことだった。私も 幕末に長州が主体の官軍が会津若松の軍隊を 徹底的に撃破したのは知っていたが、それから100年以上経った現代でこれほどの感情を持っている人々がいるとは夢想だにしなかった。重慶の人々にもある面でこれと似たような感情があるのかもしれない。

さらに日本の場合は日中戦争の反省は希薄な点が問題になる。機会さえあれば政治家は「南京大虐殺は作り事で 、実際にはなかったのだ！」と言ったり、官僚は歴史教科書の記述を歪曲化しようとする。最近の小泉首相の靖国参拝や日本人による集団買春騒ぎ、裸の中国女性に 料理を盛り付けての食事など、中国人のプライドを刺激する事件も多く反日感情はいよいよ酷くなってきているようだ。 しかしこんなことは政治家には猛省を促すにしても、今頑張っているサッカーチームのメンバーには関係ないことで、こんなとばっちりでチームとして力を出せなかったとなると残念なことだ。決勝戦はなんとその中国が相手と決まった。まず間違いなく凄まじいブーイングの嵐の中での試合になるだろう、日本にチームには死力を尽くして頑張って欲しい。