ウォーキングについて

以前は汗が噴き出るような夏は大好きだが、冬は嫌悪感を感じるほどで、秋さえも寒い冬の前兆を感じて嫌だった。この寒さ嫌いは今思い返しても異常なほどだったと思う。新婚旅行でヨーロッパに行ったときも１１月だったが、ギリシャは半袖のポロシャツで過ごせるほど快適だったのに対し、フランスなどはかなり寒くてツアーの一行が市内観光に行っているときに寒い外に出るのが嫌で、私一人バスの中に残っていた。妻は仲良しの友人ができていっしょに行動していたが内心寂しかったと思う。 それに反して夏の暑さは好きであの汗ばむ夏の日が一日でも長く続いて欲しいといつも願っていた。９月になって涼しい日が続いたりするとあの嫌な冬を連想させるものとして嫌な気分になったものだ。

ところがこの感覚が急激に変化してきた。それは４０才くらいから始めた徒歩通勤がきっかけである。そのころ体重増加対策としてウェートトレーニングとウォーキングに取り組みだした。そしてただ歩くのは続かないので通勤を徒歩にして持続させようともくろんだ。ちょうど歩いて２０〜３０分の通勤になるので都合が良かった。最初の頃はゴルフくらいでほとんど日常で歩くことはなかったので週に１〜２回くらいで雨が降ったら休むし、暑いと言ったり寒いと言ったりして休んでいた。
しかしそのうちに次第に病みつきになりほとんど歩いて通勤するようになった。これは禁煙のイメージトレーニングで清涼な空気を吸って汚れた空気を出すと言うことをイメージすると非常に気持ち良く、このこともウォーキングが病みつきになる一つの要因になったと思う。

そしてウォーキングでは気温が低いほど気持ちが良いのだ。特に冬の冷たい空気が禁煙している肺に吸入されるとそれだけでタールで真っ黒になった肺が洗浄されていく気分になる。そんなことで以前はあれほど毛嫌いしていた寒い冬の日を待望する気分になっていった。 反対に暑い日はウォーキングにはあまり向かないと思う。２０分も歩くと下着までびっしょりに濡れてクリニックに着くと下着から着替えないととても診療なんか出来ない。

そう言うことで冬を嫌う志向が変化していったのだがこれは意外だった。私が冬を嫌いなのは幼少の頃からでこんなものは一生変わらないと思っていたのだがちょっとした事で変化すると言うことが分かって不思議な気がした。

今一度ウォーキングについて考えてみるとこれは良いことだらけで素晴らしい運動だと思う。 まず費用がかからない。幾らやっても靴を買えばいい位だし時間も自分の都合に良いように設定できる。次に有酸素運動として最も有効だ。 体中にこびり付いた脂肪を燃焼させるのにこれほど実行しやすい運動はない。ジョッギングや水泳だと施設や怪我に注意しないといけないが ウォーキングはその辺もクリアできる。

また苦しいのを我慢して行うということも必要ない。 唯一欠点を上げれば格好悪いというか人から見られているとちょっと照れくさいところがあるが最近はウォーキングをする人も増えてきたので
それほどでもないと思う。

また昔から散歩をしながら思索をすると良い案が浮かぶといわれるようにエンドルフィンというホルモンが出やすく頭の健康にも良いと言われている。 これは私も経験していてこのエッセイもほとんど往復の徒歩通勤の時に頭に浮かんだものを書いている。
気分転換にも良くて、一日中診察してこんがらがった頭が帰り着く頃にはすっきりしていることが多い。

そう言うことで飽きやすい性格の私もこのウォーキングは当分続くだろうと思っている。みなさんも一度やってみたらどうですか。