合祀

今回の反日デモに関する報道の中でどうやらはっきりして来た事がある。このデモは歴代総理の靖国参拝問題や歴史教科書問題に起因した根強い反日感情が根本にある のだが、これらはごく一部の日本人の思慮に欠ける無用な行為によって増長されているということだ。近年、中国共産党の生き残り策の一環で愛国教育がさなれるようになって以来、その教育の洗礼を受けた世代が戦争を経験した世代より激烈な反日感情を抱くようになっているのは周知のことだ。こんな政策を とらないと生き延びれないような共産党国家は大いに問題があるが、それにしてもインターネットも自在に使える何億人ものこの世代をまったく作り事だけでマインドコントロールするのは不可能だろう。

やはり日本の側にそういう感情を与える素地がないと中国の策謀も上手く行く筈もない。それは結局、戦争の反省についての曖昧さだ。今回のデモについては欧米のジャーナリズムは概ね日本に好意的だが、やはり日本の責任についても言及している。23日付のワシントン・ポストに日本についての記事がある。「日本には過去の侵略行為を軽く見る勢力がおり、一部教科書が彼らに迎合しているが、日本政府は何度も謝罪した」これが欧米やアジアの一般的な日本観だろう。ドイツの報道も「日本は歴史を直視しないと近隣諸国と協調出来ないだろう」との論調だった。

ほとんどの日本人は先の戦争について真摯に反省しているし、国家もそれなりに謝罪していると思う。結局、一部の日本人が繰り返す愚行のために日本全体が大いなる国益上のダメージを受けていることになる。靖国参拝や歴史教科書の編纂のたびに中国や韓国で反日デモや猛烈な抗議が巻き起こる。これまでもそうだが今後もこの問題が起こるたびに日本の国益は大きく損なわれることだろう。この問題の解決は一見難しそうで実は簡単な話なのだ。中国も総理が単に靖国神社に参拝することを非難しているわけではない。靖国神社にＡ級戦犯が合祀されているから非難の波に曝されるのだ。

30年以上前に国交樹立された時に中国は「戦争責任は一部の日本人にあり、そのほかの責任は追及しない」と戦争賠償を放棄した。この一部の日本人がＡ級戦犯だが、それを後に なって靖国にわざわざ合祀したのだ。中国としても放置できる問題ではないだろう。ヒットラーの墓地をドイツの首相が参る様なものだ。どうしてもＡ級戦犯を祭りたければ別の墓地に埋葬したら良い。 勿論、総理はこの墓地に行ってはいけない。そうでないと永久にこの問題で紛糾することになる。

天皇陛下でさえＡ級戦犯が合祀されてからは一度も靖国神社に参拝していない。それほどほとんどの日本人が疑問視している合祀をごく一部の日本人の欲望のために実行し、そのために日本全体が甚大な損害を受けている。 それは今後も続いていくだろう。こんな馬鹿な話はないわけで早急に合祀を止めるべきだ。