小泉旋風

９月 １１日は日本中で小泉首相が巻き起こしたハリケーンが吹き荒れた。今回の衆議院選挙で自民党のみで過半数どころか絶対多数を占めて、公明党をあわせるとなんと衆議院の３分の２を超えてしまうというまったく想像もできない結果だった。序盤戦から自民党有利は伝えられていたものの、これほどの結果になるとは誰も想像できなかったに違いない。マスコミに登場する専門家も驚きの表情を隠しきれないようだ。

そもそも小泉首相が衆議院を解散させる前はもし解散→選挙 になれば民主党が大勝ちして自民党は政権の座から落ちるとの説が圧倒的に多かった。そんなリスクを犯して小泉首相は解散できないとのことだったが、何のことはない首相は公言どおりに解散して選挙に打って出た。そしてその結果はこんな大勝利に終わった。

それにしてもこの小泉首相とは一体何者なんだろう？　４年前の参議院選挙でも大ブームを起こして大勝し、今回も崖っぷちに追い込まれた状態から起死回生のハリケーンを起こしてまたまた大勝利をものにする。今まで野党の強力な 基盤だった無党派層を一気に自民党の票田に仕立て、しかも自民党の弱い地盤である都会で大勝利を挙げ、千載一遇の政権奪取のチャンスをうかがっていた民主党を壊滅的に打ち破った。今後、民主党の再生には相当の時間がかかるのではないだろうか。 あるいは最悪の場合は解党も・・・・。

結局、小泉首相がこれ程のブームを二度も巻き起こすのは、彼が今までの自民党の実力者とまったくタイプの違う政治家だからなのだろう。これまでの首相ように夜の料亭での密談に明け暮れて、 国会に出される前の段階で実質上ほとんどの法案が決まっていたという密室政治は行わず 、さらに周囲に利権団体の臭いもしないし利権誘導型の地元密着政治も行わない。現に今まで利権がらみのスキャンダルにもまったく無縁だ。 これまでの政治家のように時間があれば料亭に入り浸るのではなく、余暇を歌舞伎やオペラを鑑賞にあて音楽のＣＤに耳を傾ける。こういうキャラクターが若者中心の無党派層に受けるのだろう か。

今回、郵政法案に反対した議員が小泉首相の送った刺客の剣で枕を並べて討ち死にしても、彼らにそれほどのシンパシィーを感じないのはやはり彼等は郵政族議員だとの認識が国民の間に広まっているからなのだろう。自分の利権や選挙のために郵政改革を妨害して、全国特定郵便局長の力を利用しようとしたと思われているのだ。この辺りは小泉首相の思惑にまんまと嵌ったとも言えなくもないが、結局従来型の族議員ではこれから先政治家としての未来は 暗いものになるだろう。

最後にこの衆議院の３分の２を超えたということは非常に大きな意味を持ってくる。総ての法案 を与党の思惑だけで変えることが可能になってくる。勿論、先日の郵政法案についても参議院の可否はほとんど関係ない。いくら参議院が否決しても戻ってきた衆議院で採決すればそれで 可決する。 それだけに 与党にはいっそう慎重な政治運営が求められるだろう。