総合経営研究所

本日も国会で参考人質疑が予定されているが、 どうやら耐震データ偽造の全容が次第に明らかになりつつあるようだ。その全体像は総合経営研究所（総研）の内河所長を中心とした組織で、その主導の下に木村建設、平成設計などの 実質的な関連会社を従えて常識を超えたコストダウンを図り、鉄筋などを間引いていって工期も常識外の短期間で造り上げていくといったものでほとんど犯罪的な手法だ。

記者会見では内河所長は否定していたが、木村建設や平成設計は自分のビルに入れているし姉歯建築士はその平成設計所属の設計士という名刺を持っていたというから、この３社は明らかにぐるになって欠陥ビルを造り続けていたことになる。この総研は全国で１０００社に及ぶ会社のコンサルタントを引き受けていて、 今までに数百棟のビルを手がけてきたと言うから今後真相が暴かれると 想像を絶する事態になる可能性がある（実は私の知人もこのグループによる悪行の被害者で連日マスコミで報道されているが・・・・）。

この３社の関係だが、木村建設の社長の奥さんが平成設計の代表者になっており、この事務所も総研ビルに入っていることからも全くの関連会社として存在していたようだ。こんな確信犯的な犯罪行為が設計から施工までグルになって行われ たのだとしたら、イーホームズなどの検査機関がチェックするのは難しかったのかもしれない。総研は１ビル当たり３０００万円以上の顧問料を取り、検査会社には１５万円から５０万円くらいしか検査料は払われなかったらしい。 また内河所長は自分でコンサルトして建てたビルのすぐ近くに競争相手のビルを建てようと画策したというから、ビジネスマンとしての人格もかなり疑われる。

この３社に比べるとヒューザーやシノケンなどは三流道化師くらいの存在でしかないだろう。ヒューザーの小嶋社長はビル建設が上手く行かなかった時期に木村建設に見学に行き、そこで木村社長からこの常識はずれのコストダウンを伝授されそれを真似てビルを作ったという事も分かってきた。シノケンに至っては全くの被害者と言っても良いかも知れない。

問題はこの犯罪的行為が現在の法律では罰しにくいということだろう。今のままでは詐欺罪に問えなければ、建築基準法違反で５０万円以下の罰金ということになりかねない。しかもそれは姉歯建築士だけの問題であり、黒幕の総研内河所長や木村建築の木村社長は全くの無罪ということになる。 計画倒産をして巨額の資産を手にしたまま逃げ果せるわけだ。こんな事ではしでかした犯罪の結果の大きさと比べてあまりにバランスを欠くことになりはしないだろうか？

これまでは建築業界の人間が施工の段階で手抜きをすることはあっても、初めから欠陥ビルを設計して建てるとは想定してないのでこうなるのだろう。もはやビル建設においても、性善説を前提にした法律では太刀打ちできないのではないだろうか。 国土交通省は木村建設、姉歯設計士事務所、ヒューザーの３社が関与した物件を再点検する方針を打ち出したが、これでは欠陥ビルのあぶり出しには有効ではないだろう。

というのは総研が思いのままに使っていたのは木村建設や姉歯事務所だけではないからだ。まず第一に総研が関係した物件に注目して、これらを徹底的に洗い出すことが必要だろう。そうすると木村建設、平成設計、姉歯事務所、ヒューザーやそのほかの関連会社などが総て芋づる式に浮かび上がってくるはずだ。決してその逆 はするべきではないと思う。