ソメイヨシノ

今まで知らなかったが、日本全国にあるソメイヨシノは総て単一のクローンで遺伝的にはまったく同一のものだとニュースで報じられていた。これは吉野村で取れた一本の桜の木があまりに美しかったので接木を繰り返して全国に配って植えたもの らしい。そういうことで木としての性質は全く一緒なので、寿命や病気に対する抵抗力など総て同じ形質を持っていることになる。

これは大変なことで寿命や病気などを迎える時は、多くの木が一斉に枯れ果てる危険性をはらんでいるということになる。現実に同じ病気になっている多くのソメイヨシノが報告されているし、日本中で今後１０〜２０年間のうちにかなりの数の桜が消えてなくなることも指摘されている。考えてみれば、日本中の桜が単一のクローンだという事はかなり異常な現象である。

春の日本を象徴するようなソメイヨシノが満開の景色はいかにも古くからあったように我々は思っているが、実は明治以降に始まったかなり人工的な景色なのだということだ。裏を返せば後５０年もすれば春の景色は全く違ったものに変わってしまう可能性もあるということだ。 現在の桜が満開の景色から桜を総て取り去ってしまうことはほとんど想像できないが、いずれそうなってしまうのかも知れない。

もしくはバイオ技術を駆使して現在のソメイヨシノを人工的に再生するようになるかもしれない。あまりに人工的で少々味気ない気もするが、元々ソメイヨシノ自身がある一本の桜を基にしたクローンの産物だからバイオで作った 桜ともそれほど変わらないのかも知れない。と言うことで、近い将来には日本の春の景色がごっそり変わってしまうかもしれないというなんとも寂しい話でした。