社会の崩壊

最近、今までの常識ではすんなり理解しがたい事件が連続して起きている。秋田小１殺害事件、奈良医師宅放火事件、大阪の大学生集団リンチ生き埋め事件などだ。これらは本来人間として最低限備えているはずの 自制心が全く欠如しているのではないかと考えざるを得ない。 人間は誰でも法律に抵触する行動を一瞬たりとも考えないということは少ないと思う。しかしそのようなことをした場合の結末や負わなければならない責任や罰のことを考えて思い止まるのではないだろうか？　 こういう際に働くはずの想像力やブレーキが全く機能していない。

このような事件は私などが子供の時代には全く起きないか非常に稀な事件だと思うが、今では短い期間に何度も起きているような状態だ。 一つ一つの事件についてはそれぞれ原因や要因を上げることが出来るだろう。例えば、秋田の事件では畠山容疑者の人格の特殊性に帰着させると一応は落着するかもしれないし、奈良の事件では父子間の軋轢やストレスなどがいずれ要因として上がってくるだろう。また大阪の事件は １０人以上にのぼる大学生集団の精神的な未熟さ や残忍性が原因だと指摘されるかもしれない。

表面的で 直接的な要因としてはそれらは間違いではないかもしれないが、その根底にはもっと重大な別のものがあるような気がする。これらは子供の成長過程の親や環境に問題が あった事は十分考えられるが、それだけではなく社会の崩壊が事件の根底にあるような気がしてならない。つまり家庭を含めた社会の崩壊がこれらの事件の根底にボディーブローのように作用しているのではないだろうか。

これからは一つ一つの事件だけに別々に対処していても、次には形を変えた今までの常識では推し量れないような別の事件が発生すると思う。つまり家庭や社会の崩壊を前提に、今までとは 違った別の手法でアプローチしなければこれら若者のブレーキの壊れたような事件の根っこを解決することは難しいだろう。

それにしても先日発表された統計で、日本は自殺率が世界で２番目に多いとのこと。これだけ経済的に恵まれた大国になっても、自殺せざるを得ない状況に追い込まれる人が こんなに多い日本とはいったい何なのだろう。これも今の日本の社会崩壊が大きな要因になっている可能性が高いと思う。これらは社会や学校、家庭 などにどす黒い暗雲が広まりつつある警鐘と考えたほうが良いではないだろうか。今起こっている一連の事件と社会の崩壊は決して無縁ではないと思う。