デパートにて

普段、あまりデパートに行くことはなく（日曜日はほとんどゴルフ場でクラブを振り回していることが、その理由の大きな部分を占めているが）、衣料品もほとんどはスポーツショップや郊外の量販店で済ますことが多い。 不精な私には車で手軽に行けて簡単に買い物を済ませられる利便性がなんとも言えない。ただしスーツやブレザーはそういう訳にもいかないので、年に一回くらいはデパートまで行くことになる。先週末は試験が終わった娘が帰省して家に居たので、久しぶり 街に繰り出そうということになり家族４人で出かけた。

車で博多の中心街まで乗り付けて、そこから５分ばかり歩いて天神のデパートに辿りついた。家族は先日買い物をしていて特に買う品がなかったので真っ直ぐに紳士服売り場のフロアに向かった。

私はスーツに関しては３年に一度購入するくらいで、どちらかというとブレザーを購入することが多い。そのブレザーでも年に一度くらいのものだろうか。それもここ数年は一着も購入してないはずだ。と言うのは、サラリーマンと違い私の場合はスーツなどは仕事上ではほとんど必要はないし、しかも増減はあったが体重も２０年前と変化ないのでこの２０年間に買ったスーツ 類を総て着ることが出来る。もちろん流行や好みの問題もあり総てを身につけるわけではないが、それでもその間に購入したスーツやジャケットの数はかなりに上る。しかもそ れらを着る機会は月に一度か二度くらいときているから、傷みも少なく実際上はあまり新しく購入する必要はないと言って も良い。

そういうことでスーツ類の購入は少ないのだが、 購入する時は必ず妻と行くことにしている。それは私の場合は幾つか見て良いと思えば即決してしまう癖があり、後になって気に入らずに結局一回も身に付けなかったということも珍しくはない。その点、妻は店員にどんなに長い時間接客させていても「済みません、もうちょっと他を見てきますから」と絶対に即決しない。それから１〜２時間は平気で他の店を覗く。場合によっては他のデパートまで足を伸ばす。それだけに一度買った物は長期間身につけることになるので、時間はかかるがどちらかというと 妻のほうが賢い買い物の仕方だろう。

デパートでは１０ヶ所くらいのブランドを見て回ったが、しばらく見てない間にかなり値段が上がっているような気がした。ちょっとセンスが良いなと思うようなジャケットはまず１０万円 以下ではなかったし、 一番気に入った品は２０万円の値札が付いていた。スーツなら別だが、以前はジャケットだけなら結構気に入ったものでも７〜１０万円も出せば買うことが出来たと思う。 これらの高級品が売れるということは、実感がなかったが景気も回復してきたのだろうか？　そう言えばその後で行った時計店では３０〜５０万円する高級時計が結構売れていた （とは言っても、博多の場合は九州や山口全域から客が来るので他の地域ではそれ程でもないかも知れない）。

我々のように医療界に居ると景気の変動はほとんど分からない。景気が悪いからといってそれ程収入が減ることはない代わり、良くてもどんどん所得が増えるということはない。そういう訳で社会の変化に鈍感になっていたと思うが、 日本社会はやっと「失われた１０年」を克服して本当にトンネルを抜け出したのかもしれない。