ノロウィルス

今、全国を猛烈な勢いでノロウィルスの感染が広まっている。過去１０年を見ても最悪の感染者数で、１００万人を超える感染者数に上るらしい。これは届出数なので実数としては１０００万人以上、つまり日本人の１割が感染するのではないかと危惧されている。テレビでも盛んに報道されていて、我が家でも受験を控えている娘がいることから家族がかなり心配している。テレビなどは今朝のニュースで「全国で猛威を振るっているノロウィルス感染で福岡では遂に死者も出ました！」と伝えている。

しかしこれなどはちょっと煽りすぎではないかなと思う。と言うのは、確かに死者も出ているのは事実だが、実際にはノロウィルス感染で死んだ例はないと思う。福岡のケースもそうだが吐しゃ物を気管に詰まらせて窒息死しているし、これはウィルス感染とは直接関係なく体力の落ちた老人が吐しゃ物を吐き出せなかったのが原因だ。 他の原因で吐いたとしても同じ結果になっただろう。その他、脱水に気を付ける必要はあるものの、このウィルスの毒力はマスコミが伝えているほど強いものではない。

数日間の下痢や嘔吐、腹痛があるものの、命がどうのこうのといった事はまずない。もちろん数日間でもこのような消化器症状が続くと困ったことだし出来るだけウィルスの感染を防ぐ必要はあるが、マスコミの報道しているほど深刻な状態を招くとは思えない。以前、新聞記者と会食した時に、大事故の際の報道現場での盛り上がりや活気について雑談で聞いたことがある。そこからするとマスコミは報道する事故などが出来るだけ大規模で深刻のものでな いと盛り上がらないと思っているフシがあり、どうしてもこのような煽り気味の報道になりやすいと思う。

大事故の現場でレポーターが「これ以上犠牲者が増えないことを願っています」と言うコメントを耳にする度に、へそ曲がりな私は「本当にそう思っているのか？」と尋ねたくなる。本当はこの事故で犠牲者が最大限になり、ニュースの価値がどんどん上がるのを期待しているんじゃないか？と思うのは穿ちすぎだろうか。今回のノロウィルスについてもマスコミ関係者は出来るだけ感染者数も多く、重傷者が多くでいることを期待している んじゃないかと勘ぐりたくなる。

人は死とは無縁に思える普通の日常生活のなかでも簡単に死ぬことがある。自転車に乗っていて転んで頭を打っても、虫に刺されてショックが起こっても、バスに乗っていてトラックとぶつかっても・・・・。ノロウィルス感染による死亡率とはその程度のものだろう。確かに実際に死者は出ているが、百万人を超える感染者のなかで死者は数人報告されているにすぎない（もちろんウィルスが直接の死因ではない）。その頻度たるや宝くじの一等にあたるのより遥かに難しい。これは我々がニュースに接する際に注意しなければならない事だろう。

これまで「牡蠣にあたった」時の病原体として知られていたノロウィルスだが、遺伝子的に変異して人から人へ感染する力が強まったと思われるのはちょっと気になるが・・・・。