ドリーム・ガールズ

一昨日の 月曜日、夕食後に居間で娘たちとくつろいでいたら、誰からともなく映画を見に行こうという話になった。ちょうど話題の「ドリーム・ガール」が先週末に封切られたばかりであり、新聞で確かめると９時５分からレイトショーが上映されることになっていた。これだと一人1000円で3人で3千円ですむ。 私はいつものようにその時点でビールを2缶飲んでいたので、妻の運転する車でシネコンに急いだ。

シネコンに着くと売店で大きなポップコーンとドリンクを買ってこれを抱えて席についた。封切り後２日とはいうものの、月曜日の夜は流石に客は少なくて、館内の席は半分も埋まってなかった。それから上映までに少しは入場客も増えたが 、それでも全席の半分くらいだったろう。私自身としてはこの映画はたいして期待もしていなかったが、いざ始まってみるとこれ が予想外に素晴らしい映画だった。

昔からハリウッド製のミュージカルは駄作と素晴らしい作品とにはっきり分かれる傾向があり、古くは「ウエストサイド・ストーリー」、「サウンドオブミュージック」、最近では「シカゴ」など感動に震えるような作品も数多くある。しかし期待して見に行ってそれが駄作だった時には 、ミュージカルはストーリーで見せる映画でないだけに他の映画よりも余計にガックリということも多い。

このミュージカルでは初めから終わりまでこの映画の中で用いられる歌が素晴らしく、踊りも躍動感に満ちてこれまた素晴らしい。ビールを飲みすぎていたせいで途中からトイレに行きたくなったが、ひと段落したら行こうと思っていて遂に２時間半近くの長編作品の最後までトイレに行くチャンスを失してしまった。それくらい全編を通じてだらけた場面がなく、一気に最後の盛り上がりまで持っていく感じだった。

この映画は[ダイアナ・ロスとシュープリームス]をモデルにしていて、ダイアナ役のビヨンセ･ノウルズとそのライバル役のジェニファー・ハドソンの出来が素晴らしかった。二人共ど迫力の歌唱力と踊り を叩きつけるといった感じで、上映が終わっても一人も席を立つものが居なくて全員席に着いたままエンディングの音楽を聴いていた（私だけは一人トイレに駆け込んでいったが）。こんなことは今まで経験がなかったが、それ程皆がこの映画の迫力に圧倒されたということだろう。

 また出演者はほとんど黒人で、久しぶりに見たエディ・マーフィや主演のジェイミー･フォックスも渋い演技で引き付けられた。 アカデミー賞でハドソンと助演女優賞を競っていると伝えられている日本人の菊池某だが、とてもじゃないがこれでは勝負にならないのではないだろうか？　

私の独断と偏見から判断すると、この作品の出来はウエストサイド＞ドリーム・ガール＞シカゴ＞・・・・・という感じだろうか、今までのミュージカルでは３位以内には評価されるくらいの作品だと思う。兎に角、ど迫力に圧倒されること請け合いの作品 で、ミュージカル映画はあまり好みではないという御仁もこの映画だけは是非一見されることをお勧めする。