変な医者たち

朝青龍の問題が世間を賑わしている。夏巡業を腰椎骨折で全治６週間との診断書を出して欠場しながらモンゴルでサッカーをしていたことにより、これまで朝青龍には甘い対応 に終始してきた相撲協会も一気に重い罰則を科して臨んだ。今までの対応に慣れていた朝青龍はそれにショックを受けて 抑うつ状態だという。それに関して「すぐにでもモンゴルに帰国さして治療させるべきだ」とか「それじゃ謹慎の意味がまったく無くなる、そもそも駄々っ子の謹慎逃れのための仮病じゃないのか」とさまざまな意見が出て収拾のつかない状態になっているようだ。

しかしこれはそれ程難しい問題ではないと思う。朝青龍のやった行為は相撲を舐めきったものでこれくらいの処分は当然だろう。ただしもし本当に朝青龍がうつ病に近い状態なら、これはもう謹慎がどうのこうのという話でなくすぐにでも治療に入る必要がある。状態によってはモンゴルへの帰国も検討されなければならないだろう。

結局、問題は今の朝青龍の健康状態を正確に把握することに尽きると思う。ただし現在彼の周辺に出没している医師たちは少々問題があると言わざるを得ない。 主治医と言われている平石医師は芸能界御用達と言っても良い医師で、日頃有名人に取り入って言わば顧問弁護士のような働きをしている。彼は「にんにく注射」と 称して（多分アリナミンにステロイドを混ぜたものだろう）芸能界やスポーツ界でへんな注射を打っている。

ヤンキースの松井などは「この注射のおかげで花粉症が起きない」などといって喜んでいる。ステロイドがたっぷり入っているので当然だろうが、平石医師はドーピングのことは説明しているんだろうか？　 現在、大リーグでもボンズのようにステロイド疑惑で追及されているプレーヤーは多い。平石医師はマスコミの利用が上手く、テレビの番組にもたびたび登場している。 そのあたりのテクニックは大変素晴らしいものがあると思われるが、医師として全く信頼できる人間ではない。

精神科医と称される本田医師にいたっては本職は形成で包茎の手術が主体の美容外科医だ。経歴を見ても精神科の教育は受けてないし精神科の専門医ではない。そんな彼が「今は病気とは言えないが、数日すると本当のうつ病になる」などと言っても、とても信用出来ないだろう。また「今は病気ではない」と言いながら、その直後には「怪我で言えば全身骨折の状態です」とは貴方の頭はいったいどういう状態なの？と言いたくなる。

こんな二人が医師の守秘義務はどうなっているんだろうと心配するくらいに連日マスコミに向かって発言している。ただしその発言は顧問弁護士のように１００％朝青龍の希望を代弁するような発言で、そんな彼らが診断書を発行したり朝青龍の擁護発言をしても何の判断材料にはならないだろう。やはり中立の立場に居るちゃんとした医師の診察を受けて、初めて適切な判断が出来るしそうすれば今後の対処もそんなに難しいことではないだろう。

今回の件では首を傾げたくなるような全治６週間の診断書や芸能界御用達のステロイド乱用医師、包茎形成医を兼ねた精神科医など得体の知れない医療界の一端が表ざたになったが、マスコミに取り入ろうと手薬煉引いているのは医療関係者 の中にも思いのほか多いのだろう。

とここまで書いてきたが、今朝の報道によると相撲協会が派遣した医師が正式に「急性ストレス障害」との診断を下した。本田医師の言うように僅か数日でうつ病になるはずはなく 、どう見てもこれが正しい診断だろう。後はこの状態に適した治療法を選択することが必要となる。処分はそれからの事だろう。