京都

先週の連休に夫婦で京都を旅行してきた。私は予備校、妻は大学と以前二人とも京都に住んでいたことがあるので、バスと徒歩での旅行にしようと二日間有効のバス周遊券を買ってずいぶんと歩いた。私が京都に居たのは今から３５年も前だし、妻にしても３０年くらい前なのでずいぶん昔の話だが、やはり一度住んでいた所は今でも ある程度勝手が分かるしほとんど迷うことなく目的地に行くことが出来た。

一日目は市内のかって自分たちの生活していた地域を中心に見て回って、二日目は嵐山を中心にお寺などを散策した。私は２０年以上前、熊本大学に勤務していた頃に学会参加のついでに一度京都を訪れていたが、それでも懐かしさは格別だった。京都も今年の暖冬の せいで紅葉はまだまだだったが、私としてはそんなことより青春の一時期過ごした京都という地をこの年になって再訪できて昔生活した場所を見て回れたことが嬉しかった。

残念ながら予備校時代の生活の拠点だった寮は既に使われなくなっていて階段などは朽ち果てたような状態だったが、それでも赤レンガでできた建物自体は当時のまま残っていてこれも感慨深かった。また当時バイクを３千円で買った寮の近くの自転車屋もそのまま営業していてこれも懐かしかった。

ただ当時寝食をともにした寮の友人たちの消息がまるでつかめずに、結局一人も再会できなかったことが残念だった。彼等は京都大学や大阪大学など関西地区の大学に進学した者が多かったので、今でもこの地区に住んでいる可能性もあると思うがいかんせん３５年の時間は永過ぎた。当時お互いによく勉強もしたし、日曜日には自転車で神社仏閣を訪ねたものだった。またたまには夜を徹して自分たちの夢を語り合った事もあった。そんな友人達は今どうしているのだろう、彼らと消息が途切れているのは本当に残念だ。

一方妻のアパートの周辺はかなり変貌していたようで、すぐには分からず場所を間違ったほどだった。市内でも開発が進んで変化が大きい地区とそうでない地区に分かれるのかもしれない。と言うより、今回の旅行では変化の少ない私の寮の周辺が例外で、京都市内ほとんどがかなり変貌している印象を持った。昔ながらの京都の家屋が残っているところはずいぶん減ってきている。

我々の住んでいた頃は京都は明らかに他の地域と違っていたと思うが、今では民家に限ってみれば他の地域との差はほとんど無くなってきているのではないだろうか。これも寂しいことだが、実際に住んでいる住民にしてみれば、寒暖差の激しい京都で生活に便利なような住居を追求すれば昔のままの形態の家屋を残しておくことは無理なのだろう。モータリゼーションも発達してくるのは当然だし、こういう街の変化は致し方ないのかも知れない。 それにしても懐かしさいっぱいの京都旅行だった。