中東の笛

いよいよやり直しとなったハンドボールの 北京五輪アジア予選が行なわれる。これはいわゆる「中東の笛」問題で、クウェートが極端に自国の有利になるように審判の選抜や試合運営を行なってきたことに起因する。その結果、遂に日韓の連盟が堪忍袋の緒が切れた状態になりＤＶＤまで作成して 国際ハンドボール連盟に直訴して、それが認められて予選のやり直しとなったものだ。

こう書けば日本のハンドボール連盟はよく頑張ったように思うかもしれないが、実際は韓国の連盟が頭から湯気を出して抗議したのが発端であり アピールも韓国が中心になって行なったのだ。ＤＶＤも韓国が作成した。この辺りは外交でも同じだが、日本は外へ向かってのアピールが全く下手で、今回の理不尽な判定にもただ涙を流して悔しがっていただけだった。もし今回の予選で日本だけが ダーティな判定を受けていたら、まず間違いなく日本は泣き寝入りして抗議もせずこのようなやり直しはなかっただろう。

今回の問題を目にしても日本人は余りにも穏やかすぎると思う。やはり怒る時はしっかり怒らないと外国人には分からない。これはなにも今回のようなスポーツだけでなく外交でも政治でも同じだろう。どうにかして穏便に事を済ませようとして却って問題を不味い方向へ導くことが多いのではないだろうか？

クウェートの横暴振りにははらわたが煮えくり返る思いだったハンドボール関係者には、この国際ハンドボール連盟のやり直し決定は溜飲を下げる思いだったろうし、マスコミの報道も「良かった！良かった！」と手放しの喜びようだ。いかにもこれでオリンピックへの参加が決まったような報道だが、しかしこれは大間違いで現実を直視すれば、日本がオリンピックに参加できる可能性は相当低い と言わざるを得ない。

男女とも韓国との一騎打ちになったやり直し予選だが、男子は対韓国戦は１０勝２４敗２引き分けで１９９０年以降は一勝もしてなく２分けを挟んで１５連敗中だ （ただこの２分けが直近の試合だという点が僅かな救いだが・・・）。女子はもっと悲惨で４勝３５敗１分けだが、この４勝も相手がジュニア選抜だったり 、クウェートが韓国を負かしたい為に「中東の笛」が働いて勝った試合だけでまともには勝ててない。つまり男女とも日本が韓国に勝てる可能性は非常に低い。

マスコミに踊らされて これまでの実績を知らないでこの試合を観戦すると、盛り上がっている日本の観衆は大きな失望を味わうと思う。マスコミはこの辺りを全く報道しないのはどういう訳だろう。スポーツ評論家はテレビなどで日本開催だけに日本有利だとの評論もしているが、こんな甘い予測は多分通用しないだろう。その時になって日本全体がガックリする姿は余り見たくない。私は２９日は宴会があり３０日夜は映画を見に行く予定なので（この原稿は２９日昼に書いている）、 幸か不幸かこの試合を見ることは出来ないが・・・・。