ロス疑惑

テレビを見ていると時には眼ん玉が飛び出すようなニュース速報に出くわすことがあるが、これなんかもそうだろう。数日前にあのロス疑惑の三浦和義がサイパンの空港で 出国手続き中に逮捕されたとの事。この速報がテレビ画面の片隅に現れたときには、驚きすぎて椅子から転げ落ちそうになるほどだった。 彼は６年の刑期を終えて出所した後は冤罪被害者の会などで活動していたらしいが、マスコミに出ることは少なくて、最近万引きして捕まったことで報道され「彼もまだ生きていたんだ！」と再認識したくらいだった。

ロス疑惑といえば、私が３０才頃から１０年近くにわたってテレビを賑わしたが、彼は妻の殺害のためにある女優にハンマーで殴打することを命じたとして有罪になったものの、最終的に殺人事件としては無罪に終結してなんだか判らない事件だった。あれ程限りなく黒に近くても殺人事件として有罪に持って行くのは難しいんだと思った記憶がある。

彼は２７年前にロサンゼルスで強盗により妻を殺害された悲劇の人として登場し、その２年後には週刊文春「疑惑の銃弾」により一転して妻の保険金殺人疑惑の主役になって連日テレビ画面で見るようになった。今でも覚えているのは彼の特異なキャラクターだ。最初はテレビに向かって「妻が襲われた直後、一美、一美と１００回から２００回呼びかけた」と泣きながら訴えていた。これを聞いた時には私はこんなオーバーアクションの人間は日本人には非常に珍しく何か胡散臭いと直感が働いたし、そもそも大した収入もないのに妻に１億８０００万円もの生命保険をかける人間はまともな奴ではないと思っていた。するとその後に彼の妻襲撃計画が次第に判明してきて、「この男は絶対に犯人だ」と確信するに至った。

ところがこれがなかなか逮捕されなくて、国民ももう捕まることはないんではないか！とイライラしてきたころにやっと逮捕された。その後は一美さん殴打事件では有罪になったものの、殺人罪としては一審で有罪判決の後最高裁まで行って結局無罪となった。 これが日本の司法のだらしないところだが・・・・。この件に関しては日本では既に決着がついており、今回の逮捕は本人も全く予期してなかったようだ。

この逮捕に関しては三浦和義サイドの弁護士などから法的に問題があるなどのコメントが出されているし、今後もいわゆる人権派弁護士から非難声明が出される可能性が高い。しかし そんな事はまったく気にする必要はないと思うし、彼らの言う「邦人保護の観点」もへったくれもないと思う。殺人を犯した人間は何処に居ようと地獄の果てまでも追及されるべきで、その意味で殺人罪には時効も無くすべきだろう。科学捜査が進むとＤＮＡ解析のように、以前だと分からなかった事件が新しい視点で解決できることは多く、時効は絶対に設けるべきでないと思う。

日頃、常に日本の司法は甘すぎると感じていたので、今回のアメリカの警察による逮捕劇は諸手を挙げて賛同したいと思う。そしてゆるふんの日本の司法はすり抜けられても、 外国の司法はそんなに甘くはないよというところを見せて欲しい。そういうことが犯罪防止に繋がると思う。 今マスコミでは新しい証拠が出たのではないかと言われているが、そんな物はなくてもこの事件はアメリカの陪審員制度下での裁判では絶対に有罪に持ち込めると思うし、是非そうなって この被告をブタ箱のぶち込んで欲しいと祈っている。

それにしてもこの事件と同様の状況で妻の名前を２００回も叫ぶ者は、日本全国を探しても一人として居ないと今でも私は断言できるが・・・・。