政権交代

一昨日の福田首相の辞任には本当に驚かされた。一ヶ月前に内閣改造をしたばかりで、これから国会も召集して本格的な内閣の活動が始まろうとしていた時期だった。本人の心のうちは本当のところは分からないが、次の衆議院選挙を自民党に有利に持っていくための辞任だった部分も大きいだろう。総理の椅子も随分軽くなったものだ。

振り返れば前回の安倍首相から２回連続の政権投げ出しで、こんな事は日本の政治史上前代未聞の出来事だろう。そう言えば二人とも二世議員で線の細いところが見受けられるが、政界トップの総理大臣になるにはもっと図太い人間でないと務まらないのかもしれない（と言っても、小泉元首相も二世議員だったが・・・・)。やはり若い頃から総理の椅子を狙ってそれなりの 準備をしてきた人間でないと総理を務め上げるのは無理なのだろう。

ただ現在のような衆参の捩じれ国会ではこれまで培ってきた国会対策もそれ程有効でなく、余程肝の座った人間でないと誰が首相になっても同じ経過を辿るのかもしれない。唯一の解決策は民主党が次の衆議院選挙で政権を取って捩じれを解消することぐらいだろう。しかもこれはそれ程可能性の低い話ではなく、結構実現しそうなことである。

そもそも小泉首相が総理になる前はもうほとんど自民党から政権は零れ落ちそうになっていた。それを巨大台風のような小泉人気で今まで持ちこたえた来ただけで、本来は既に政権交代を迎えていたはずだ。日本政治の最大の問題点である戦後６０年以上の自民党独裁政治は、今では流れの滞った 大河のように社会の隅々まで腐敗の悪臭を蔓延らせている。これは今自民党政権がやろうとしているような小手先の改革ではどうしようもなく、政権交代という大なたでしか解決できない。

政権交代によって社会の腐敗は格段に一掃されやすくなる。官僚は自民党代議士におべっかを使ってさえいれば、特殊法人を造り放題に作って後は大した仕事もないような法人へ天下りを繰り返すという システムは終わって、政権交代のたびに新しい政権によって無駄な歳出はチェックを受けることになる。現在蔓延っている無数の特殊法人のうち半分以上は淘汰されるだろう。それだけで行政の経費は相当に減額できるはずだ。

いずれそう遠くない時期に選挙が行なわれるのは間違いないだろう。 そこでは実質的に戦後初めての政権交代が起きるのか、または自民党の老獪な選挙戦術が功を奏して自民党が永らえるのかは分からない。ただ日本を官僚のクモの巣が蔓延った悪臭のする国から風通しの良い国にするためにも、今度の選挙ではしっかり考えて行動したいものだ。