思考停止

どうも最近、日本では多くの人間が集団で思考停止状態に陥っているように思われてならない。テレビからは円天という巨大な詐欺集団の摘発が報道されていて、相変わらずこうも簡単に詐欺に引っかかる人間の多いことに呆れる思いだ。 同じような手法の詐欺事件があまりに続くと、「少しは自分の頭で考えてみろ！」と言いたくなる。もちろん詐欺事件では騙すほうが悪いに決まっているが、ほとんど同じ方法で何度も騙されるのは日本人のお人好しさも少しは反省しないといけないのではないだろうか。

ただ現在の大不況の源になったサブプライムローン自体がどうみても大掛かりな詐欺システムとしか考えられないので、アメリカでも日本に劣らず詐欺に引っかかる人間は多いとも言えるだろう。と言うより、世界中で思考停止状態が進んでいるのではないかと 暗澹たる気持ちだ。

円天にしてもサブプライムローンにしても、これらはちょっと考えると先では必ず行き詰るシステムであることはすぐに分かると思う。円天は全くねずみ講そのものだし、サブプライムローンは資産の乏しい者に高額の資金を融資しているのだから、住宅価格の上昇がストップしたとたんに破綻するのは誰の目にも明らかだ。

つまり円天もサブプライムローンも限界点に来たら最後一巻の終わりで、その時は大変なことになるのは関係者には自明の理だったはずだ。それをプロの金融マンが複雑な理論を貼り付けて分かりにくく債権化し、世界中の金融機関に売りまくっていたのだからこんな危なっかしいことはない。これはもういずれ金融破綻が起こらないほうがおかしいし、初めから分かっていた事を考慮すると犯罪行為そのものだ。

これらはどうみても世界中で思考停止状態になっているとしか思えないが、ひょっとすると真剣に考えると怖いので考えないことにして当座の気楽な状態を楽しもうとしたのだろうか？　 すぐに対処しないと先ではもっと酷いことが起こるのは判っていても、人間には嵐の前の静けさに安住していたいという心理が働くのかもしれない。

私の居る医療界もそのご多分に漏れず思考停止状態が窺われる。日本医師会は戦後６０年以上政権与党である自民党を一貫して支持してきた。これまでは与党である自民党に擦り寄ることでそれなりのメリットはあっただろう。ただこれからはそうは行かない。それは今年中に必ずある総選挙では政権交代が起こる可能性が高いと言われている。今私が不思議に思うのは、政権交代が起こった場合にそ の事態にどう対処するのかを誰も考えていないのじゃないかと思われる点だ。

つまり自民党が下野した場合に、新しく政権をとった政党とどう対処するのか？　まさか「そんな怖いことは考えたくない！｣ と縮こまっている訳じゃないとは思うが・・・。「そうならないように全会員が大和魂で頑張るだけだ！」というのでは何やら戦争に突入したどこかの軍部と同じだし。蓋を開けてみたら「こんな結果はまるで考えていませんでした｣などという最悪の事態だけは止めて欲しい。

とここまで書いてきて、突然民主党小沢党首の第一公設秘書逮捕の一報が飛び込んできた。一体どうなることやら・・・・。