タイタニック!

遂に自民党という大船が沈没の時を迎える様相を呈してきた。党内から様々な麻生下ろしの矢がどんどん放たれるようになり、それに対してなんら有効な手段を講じることの出来ない側近たちも寂しいが、それを一気に倒閣に結びつけることが出来ない反麻生の議員たちも力不足なのか。

そもそも選挙のための顔役として自民党は麻生首相を選んだはずだったが、解散しないで先延ばしにしているうちににズルズルと内閣支持率が下がっていって、もはや解散をするのは死期を早めること以外には意味 をなさなくなった。中川元幹事長からは「ヤケッパチで解散して集団自殺のようなことをするべきでない」と反対される始末。

総理になる前の麻生議員はべらんめえ調のスピーチで舌鋒鋭く政敵を攻撃してそれなりに人気もあったし、選挙の顔として選んだ自民党の判断もその時点では間違ってはいなかったと思う。ところが漢字の読み間違いがあまりに多くて 、新聞等でそれを非難されて以来歯車が狂いだした。今まで自由に発言していたものが読み間違いを気にして慎重に原稿を読むような発言になり、新聞記者などの質問にけんか腰で反論 していたのも評判が悪いと自民党の有力者達に注意されて以来妙にニヤニヤしたソフトな対応に変化してきた。

しかし これもかえって感じが悪くなる始末でやることなすこと裏目に出るパターンを繰り返している。民主党とすればこのまま麻生首相を温存したうえで総選挙に突入したいのは見え見えで、麻生首相の通したい法案にも出来るだけ協力を惜しまない姿勢 を表している。民主党からすれば当然そのように考えるのだろうが、自民党の議員からすればそれは堪らない訳でどうにかして麻生首相を代えて選挙に臨みたいのだろう。

首相になった時には久しぶりの福岡の首相ということで熱気むんむんの地元の応援だったが、こここの時点に至ってはもうあまり首相を応援しようという空気はないようだ。結局、馬脚が現れたというか 所詮それくらいの人物だったということだろう。 首相にならなければ面白いコメントをする代議士としてそれなりに珍重される存在だったかもしれないが、彼は一国を代表する首相になったのが運の尽きだったのかもしれない。

それにしても今の自民党を見ていると、沈み行くタイタニック号のうえで右往左往している乗客の様子が頭に浮かんでくる。 タイタニックが氷山に激突して沈没しようとしている時に、船長を代えるようなことをしてもあまり意味はないだろう。皆で どうしたら救命ボートに効率的に乗り移れるかを思案しなければならないのに、麻生船長 は「まだまだこの船は沈まない！、全員持ち場を離れるな！」と叫んでいる状態だから、船長を変えたくなる気持ちは十分理解できるが・・・・。