実弾射撃場
　

韓国の実弾射撃場で火災事件が発生して、日本人７人を含む11人の死亡者が出た。今のところ出火原因ははっきりしていないが、床に蓄積していた火薬に火がついたとか粉塵爆発とか言われている。どちらにしろ狭い閉鎖空間で一瞬で火が燃え広がっているので、犠牲者たちは恐らく逃げる暇はなかったのだろう。

これで思い出すのは、今から２０年前に私が始めてハワイに行ったときのことだ。この時はゴルフパックでの旅行で、アメリカ・ゴルフツアーであるハワイアン・オープンの観戦と ゴルフプレーが主体だったが、ほとんど皆がハワイは初めてだったので観光にも結構時間が割かれていた。自由時間には女性陣は終始ショッピングに精を出していたが、男性陣は街に繰り出して 各自が好みに応じてハワイを堪能した。

私はパックで知り合った同年代の男性と実弾射撃場に行くことにした。なにしろ実弾の射撃など日本では自衛隊員か暴力団の組員くらいしかやったことはないだろうから、興奮しつつパンフレットに記載されている射撃場までタクシーを飛ばした。射撃場に着くと受付を済ませて、待合室で注意事項の説明を聞いて呼ばれるまで待っていた。射撃場へは一人ずつ呼ばれていて、遂に自分の番が来た。

いざピストルを撃つ場所に着くと、係員がヘッドフォンと目を防御するサングラスのようなものを持ってきて装着させた。事前に火薬の爆発する衝撃が凄いので、両手でしっかり保持して撃つように言われていた。実際にそのようにして確か１０っ発くらい撃ったと思うが、意外と反動は軽くて肩透かしを食らうほどだった。多分、私の場合は銃弾の口径が小さいものを選択したのだろう。

もう一つ意外だったのは結構離れていたターゲットに当たる確率が高くて、後で返されたターゲットの紙を見るとほとんど真ん中の小さな円のなかに命中していた。成績表を見ると上級者レベルにチェックが入っていた。考えてみると 、私は子供の頃から縁日の射的なども得意だったので、ひょっとしたら私は射撃には才能があるのかもしれないと一人悦に入っていた。

というような実弾射撃場でのワクワク経験だったが、今回の火災はそんな楽しい経験が一転して悲惨な事態に発展したものだ。おまけに同窓会での旅行でこんな最悪の惨劇が起こるとは・・・・。考えてみると、私もちょっと間違うと同じ様な目に遭っていた可能性も無きにしも非ずだ。運が悪ければ、葬儀の場で「彼は初めてのハワイ旅行でこんな目に遭うなんて・・・・」と弔辞を読まれていた可能性も全くゼロと言うわけではないだろう。

この辺りはちょっとした運不運でどうにでも転がる話で、人間いくら気をつけていてもこういう災難を絶対に避けるということは無理だろう。今回の犠牲者の冥福をお祈りするばかりだ。