セレブの余裕？
　

現在、ハイチ を襲った大地震によって甚大な被害が報告されている。それは死者だけで15万人、被災者は３００万人に達するという。各国はその救済に精一杯の手を差し伸べているようだ。日本も援助が少々遅れたことや規模が小さいことを非難されながらも、 ６３億円の資金援助や陸上自衛隊の派遣なども検討されている。 そういう報道のなかで私が一つ驚いたのは被災して孤児になった子供たちに養子縁組の申し出が多数行なわれているとのことだ。

以前から不思議に思っていたのだが、こういう災害時だけでなく普通の時でも、欧米の人たちによるアジアやアフリカの子供たちへの養子縁組の申し出は数多くある。生活レベルの高い欧米人 （いわゆるセレブ）が自分の子供が何人か居るにも拘らず、さらに恵まれない境遇の子供たちを養子にして育てるケースは稀ではない。

例えばハリウッドスターのブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー夫婦も自分たちの子供が３人も居るのに、さらに養子を３人引き取って育てている。他にも同様なケースはたくさんある。さらに中には障害のある子を引き取って自分の子供と一緒に育てているセレブも複数居る。これは一体何なんだろうと思う。我々日本人の 感覚からするとどうも理解できない行為だ。

他人の子供を育てるだけで相当なハードルがあるのに、初めから障害者として生まれた子供をわざわざ引き取って、自分たちの子供と同じ環境で育てるというのはどういう精神構造をしているのだろうか。欧米には我々とは違った社会通念がある のだろうか。我々とは違った社会的な義務感もあるのかもしれない。これは日本人で同じ様なことを行なっている人を知らないだけに全く理解できないところだ。

ただ今回もそうだが、なかにはこういう善意の申し込みにまぎれて人さらいのような悪行を行なおうとするあくどい輩も居るようで、当局もかなり神経質になっているようだ。この両極端の人間が居るのが欧米らしいが、それにしても日頃ニュースなどで見ている限りは、そういう悪人はあくまで例外で善意の人間のほうが 圧倒的に多いのだろう。

このマリア・テレサ並みとも言える善行は普通の西欧人にはすんなりと理解できるのだろうか？　それとも私には全く理解できないけれども、この件についてそれ程違和感 を持ってない日本人も多くいるのだろうか？　または日本には本当の意味で余裕のあるセレブが居ないのだろうか？　私にとってはいくら考えてもよく分からない不思議な出来事である。