オリンピックと国会議員
　

昨日、 柔道の谷亮子が今夏の参院選に出馬すると記者会見で語っていた。柔道のほうは今までどおり続行で、ロンドンオリンピックを目指すとのこと。この担ぎ出しはもちろん小沢幹事長の策略であり、彼は 記者会見中彼女の横に座って満面の笑みを浮かべていた。 問題は柔道の場合ロンドンオリンピックからはシステムが変わってポイント制になり、ポイントを積み上げないと参加できないようになっていることだ。

彼女の場合は出産育児もあり現在ポイントがゼロのはずだから、これからロンドンを目指すなら合宿など強化練習を重ねて重要大会に参加してポイントを積まないとならない。国会なんかに出席する余裕はほとんどないはずだ。万が一国会出席を最低限で済ませて後を柔道に専念するとしても、政治家としての研鑽や政治や法律の勉強などはほとんど出来ないだろう。

国会議員に一人当たり２千万円以上の歳費を与えているのは、勿論国の行く末の舵取りを担ってもらうからでありオリンピックで金メダルを取ってもらうためにではない。彼女は昨日の記者会見で大きな顔をして小沢大先生を持ち上げる発言をしていたが 、彼女の周囲には小沢氏を含めてなんたる政治オンチが集まっているのだろうと思う。

今これ程ジャーナリズムから糾弾されている中でどんなに美辞麗句を並べても、小沢幹事長の人格がそれによって見直されることはないし、谷亮子を心底応援しようという者もそんなには出てこないだろう。それが判らない小沢幹事長は追い込まれて正常な判断力を失っていると思わざるを得ない。 今夏の参院選で民主党が勝つ可能性は彼自身と鳩山首相が揃って辞任して、その後新しい執行部で選挙に臨む道しか残ってないだろう。

昨日の報道では谷の他にも歌手の庄野まよ、スポーツ界から池ケ谷、堀内、中畑、西村修、芸能界は桂きん枝、岡崎由紀などメディアでの人気を当て込んで比例区での集票マシーンとして担ぎ 出したのがミエミエの候補者が乱立している。担ぐほうも担ぐほうだが、それにのってホイホイと出てくる候補者もどうかなと疑問に思う。 まあオリンピック優勝と国会議員の二束のわらじを履くのとはだいぶ違いがあるが。

勿論参議院は色々な分野からその道のプロが国会議員になって発言するのは一概に悪いとは言えない面がある。ただしこれほど露骨に比例区でのメディア人気を当て込んでの担ぎ出しは、あまりに国会軽視だと言われても反論できないのではないだろうか。それとも参議院の場合はそれくらいの気持ちで議員になっても、別になんら支障がないくらいの存在だとでも言うのか。

日本くらい政治に金をかけてその成果が薄い国はない。国会議員の数がやたらと多すぎるし、特権や歳費などお手当てのわりにその活動がいい加減でも通用する国も珍しいと思う。それもこれも国会議員のレベルは選挙民のレベルを反映しているものなので、結局日本国民の政治的レベルが低すぎる ことに帰結するのかも知れないが・・・。