LとR


最近、フェイスブックのお蔭でアメリカ在住の旧友と連絡が取れて、彼との交友が再開した。彼とは高校から浪人時代、大学の医学部６年間までずっと同じ道を歩いてきていろいろと思い出も多く、親しい友人の一人だったが、大学を卒業し た後ある程度落ち着いてからは気が付くと連絡が取れなくなり永らく消息も不明だった。同窓会に出席しても彼は参加してなくて、風の便りで彼はアメリカに居るんではないかと友人の一人が言っていたのを聞いたくらいだった。一度シカゴの大学で肝臓移植チームの一員として、テレビで紹介されているのを見た記憶はあ ったが、それでも連絡が取れるところまでは行かなかった。

それが５年前くらいだったか彼からメールが来た。私のホームページを見て連絡を取ったとのことで、彼はゴルフ場が数多く集まっている事で有名な保養地のパームスプリングで 内科を開業をしているとのことだった。そこで何度かメールの交換をしたのだったが、パソコンを換えたりするうちに彼のアドレスも紛失して連絡が取れない状態になっていた。一度アドレスを失くすと 現在の方法では再び知ることは難しい。

ところがフェイスブックを使うと、相手さえ登録していれば簡単に割り出すことが出来る。特にアメリカでは多くの社会人が名刺並みに登録しているので、名前さえわかれば特に困難もなくアドレスを知ることが出来る。私も試しに彼の名前を記入して調べるとすぐに分かり、そこから再び二人の交流が始まった。そこで分かったのは彼は現在ＵＣＬＡで働いているとの 。日本の場合には一度開業すると勤務医に戻ることはあまりないが、アメリカでは大学教授が自分で開業したり開業医が大学で教べんを取ったりといろいろある。彼もそういう状態なのだろう。

ところで私は英会話において以前から疑問に思っていたことがあった。それは例えばbeautifulの発音でアメリカ人は「ビューリフォ」というように、Ｔをラ行で発音することが多い。人によってはダ行のように発音するようだ。そのように発音するほうが「ビューティフォ」と言うよりアメリカ人らしく聞こえる。私もそのように発音してきたが、ある時にこのラ行はＬなのかＲなのかとの疑問が浮かんできた。日本人にはこの区別がないので、生粋の日本人である私もラ行ということでそれ以上考えなかった。ただネイティブスピーカーにとってはＬとＲではまるで違うはずで、この辺りをいい加減にしておくと 英会話の上達の上でも良くないだろう。

そもそも日本語のラ行は舌の位置が英語のＬとＲの間の中間的なところにあるので、アメリカ人からするとＬでもＲでも ないということになる。そこでＴを考えてみると、これはどうもＬに近い位置に舌があるように思われる。ということはこのＴのラ行はＬとして発音しないとアメリカ人にはＴと聞こえないのではないか？　ただアメリカ人としては多分ＬとかＲとか考えている訳ではなく、自分たちは普通にＴと発音していると思っているはずでこんなことをアメリカ人に聞いても分からないだろう。かなり前に英会話を習っていた時にも講師のカナダ人に聞いたことがあったが、やはりその質問自体が理解できないようだった。

こんな時に頭に浮かんだのが、このアメリカ在住の友人だった。彼は高校時代から英会話が得意で、リンガフォンやＮＨＫの英会話講座を利用してかなり勉強していた。大学の時はアメリカ人の英語講師と友人になって日常会話はペラペラの状態だった。しかもそれ以後３０年間もアメリカで生活しているのだから、もうほとんどネイティブスピーカーと言ってよいと思う。しかも家庭内では日本語で生活しているはずなので（奥さんは日本人だった）、日本人として英会話における機微にも通じているので最適な相談相手だと思った。

そこでフェイスブックで彼に相談すると、彼から「自分は英会話が下手なので娘に聞いたところ、やはりＴはＬに近い形で発音したら良いようだ」との返事が返ってきた。彼の英会話が下手というのも不思議だったが、娘さんは物心ついたころから英語での生活をしているのでそれもそうだなと納得した。これで永年 頭の片隅に引っかかっていた疑問が解消した訳だが、問題は 会話の流れの中でその通りに発音できるかどうかで、それが出来てもそればかり考えているとほかの点が疎かになってとてもスムーズな会話にはならないだろう。ただなには どうあれフェイスブックのお陰ですっきりしたことは間違いない。