震災について

　

今回の東日本大震災は日本の歴史上類を見ない被害規模と原発事故という悲惨な事態まで引き起こした最悪の災害になってしまったが、最近になって明るいニュースも一つ二つ出始めてきている。ソフトバンクの孫正義氏が 個人資産から１００億円の援助を表明したと思ったら、マスターズで活躍した石川遼君も今年の獲得賞金全額を援助することを発表した。災害も空前の規模だったが、援助のほうもこれまで目にしたことがないほどのレベルだ。こういう事を目にすると日本人も捨てたものではないなと思う。

そんな折、 一昨日テレビを見ていたら、あまりに緊急地震速報が頻繁に出てくるのにわが目を疑った。テレビ画面には何分かおきに地震の発生を知らせる速報が登場して、それが普段なら多くても数回で終わるところが延々と数時間以上テレビを見ている間続いた。しかも震度も４〜６と普通ならそ の一つだけで大地震 の規模だ 。それは丸一日経ってもまだ続いている。大震災が発生して既に一か月を過ぎたこの時点でこんなにも大きな余震が続くのはなんやら不気味なものがある。本当に地震学者が言うように東北大震災の余震なのかさえ疑いたくなる。

振り返れば私が地震に遭ったのは今まで数回しかないし、それもたかだか震度２くらいのものだったろう。多分震度３というのは経験してないと思う。それからすると現在関東や東北で起こっている余震は１６００回 以上、震度３〜６に限っても既に１００回を超えており、震度５以上だけでも２４回と凄まじい恐怖の体験だと思う。 際限なく続く余震の揺れにプラスして放射能漏れ、津波被害の酷さ、長期間の停電や風評被害など今回の震災には今までの震災の体験が生かせないほど想定外の事態が多すぎる。 今後の生存者の精神面のケアが大変だろう。

昨日のテレビでは今回の原発事故が国際原子力評価尺度（ＩＮＥＳ）のレベル７に繰り上げられたことが報道されていた。しかし今回の事故は大震災翌日の１２日から大前氏が言っているようにそもそも 津波を被った時点で既にレベル６であり、その後も改善するどころかレベル７に向かって 突き進んでいた。また原発大国フランスの研究機関では以前から今回の原発事故はレベル７だと断定していた。そういうことから今日の結果は当然予想された状態であり、今になってマスコミがワイワイ騒ぐようなものではないと思う。ただレベル７ を表明したからと言って別に状況が悪化するものでもなく、むしろ事態は最も重要な原子炉の冷却などで改善の方向へ向かっている。 既に潮目は変わっているのだ。それにチェルノブイリと同じレベル７だとは言え、その漏洩した放射能量は桁違いに少ない。マスコミはもうちょっと冷静に事態を眺めるようにしたほうが良いと思う。

海外のメディアが冷静さを失った報道を繰り広げている現状で、それらを是正するには日本から正確な情報を流すしかない。それなのに日本のマスコミがあたふたして感情的な情報を流すと何時までも海外 メディアの風評被害を食い止められないだろう。それは日本の国益が大きく毀損されていることになる。以前から日本のマスコミには呆れることが多いが、雰囲気や流れに乗って報道するのではなく、冷静に事態を観察し本質を突いたニュースを流すべきだと思う。

毎日テレビに登場してくる枝野官房長官や原子力保安院の西山氏も全力で良くやっていると思う。説明している人に対して新聞社の記者やコメンテーターが非難ばかりして 、聞く耳を持たない姿勢はテレビを見ていてもあまり気持ちの良いものではない。もうちょっと大人の対応を身に着ける必要があると思うが、彼らにそれを期待するのは無理なのだろうか。