デフレ社会
　

5年くらい前から使っていた電気シェーバーが切れが悪くなりまたボディにも綻びが出てくるようになった。これまで何度か刃を変えて使ってきたが、そろそろ寿命を迎えたようだ。そういうことで妻に量販店で買ってくるように言っていたら、いつまで経っても買ってくる素振りがない。何度か催促していたら、「自分で価格ドットコムで買ったら！」と言われる始末。それもそうだなと思いパソコンで見てみると、予想外に安い値段で売っていた。以前、新聞などの宣伝で４〜5万円くらいすると思っていた 商品が、なんと2万3千円で売り出していた。

この価格ドットコムは全国のショップの中で一番安い店から順番にその価格を表示しているので、価格をメインに自分の希望に合った条件の店を選んで商品を決めれば翌日には その品が届く。サイトにはいろいろ便利な項目が表示されていて、商品の詳細な説明は勿論のこと送料が無料になるかどうかや最近一年間の価格の推移なども見ることが出来る。この価格の推移は結構面白くて、私が買ったシェーバーにしても半年前の発売時には4万円前後だった価格が今では2万3千円まで下落しているのが一目瞭然だ。こうなると私の場合は急いでいた事情があったので 話が別だが、普通は人情としてもう少し待ってみようという気にもなりがちだろう。

これは購入者にとっては大変便利で有難いことだが、見方を変えるとこのデフレ状態は恐ろしいものがあると思う。最近、日本の家電業界がかなり厳しい状態だと言われているが、液晶テレビなど の価格の下落が激しいことも大きな要因だろう。2年くらい前に２０〜30万円だったテレビが今では数万円で売られたりするご時世だから、社運をかけて開発してもそのメリットは長くは続かない。すぐに韓国や中国などから類似品が出てきて価格も大幅に下落してしまう。 これではソニーなど最先端の企業も堪ったものではないだろう。

これまで車業界といっしょになって日本の輸出を引っ張ってきたソニーや松下電器などが揃って工場の海外移転や縮小に精を出している。日本の家電上位五社を集めても、韓国のサムソン一社に太刀打ちできないのだから 、法人税も高く不況の続く日本国内で頑張ってみてもどうしようもない所まで来ているのだろう。このままでは日本の雇用はじり貧で欧米並みに若者の就業率は下がっていくのかもしれない。なんともやりきれない状況だが、日本の若者も世界に打って出ないと生きていけない社会になっていくのだろうか。

実を言うと、私は 大学生の頃から今までドイツのブラウン社製のシェーバーを使っていたが、今回はそういう状況も少しは考慮してパナソニックのものに決めた。ただそれだけでなくカタログを 見てもブラウンに決して引けを取らないし 、むしろこちらのほうが優れた点もあり決めたのだったが世界の市場ではどうだろうか。と言うのは、価格的には昔と違って円高もあり既に日本製のほうが ブラウン社のものより高く、アジア市場などでこの価格で競争に勝てるのかどうか。

ガラパゴス化と言って日本国内だけは通用するが、世界では性能が優れていても価格が高すぎて売れなくなっている。今までは携帯電話などについて言われていたが、これからはソニーもトヨタもその流れに飲み込まれていきそうな気がする。どうにか日本の企業に頑張ってもらいたいものだが・・・・・。