中国の実像

中国！　 大多数の日本国民はこの国と付き合っていくのは大変なことだと再認識していると思う。報道官などの自国の非を絶対に認めない発言や常に攻撃的な外交姿勢など全く辟易する事ばかりだ。出来ればいっその ことあんな国とは付き合いたくないと感じている人が多数なのだろうが、なにしろ１３億人以上の人口を考えるとマーケットとしてだけでも初めから除外することなどできない。また最近は賃金が上昇しつつあって少しメリットは縮小気味だが、世界の工場としても無視はできない存在だろう。

ただ歴史問題だけを考えても、これからも中国に進出している日系企業は常に大きなリスクを背負っていくことは間違いないだろう。そして将来、これが一転して「仲直りしたので以降は全てリスクがなくなった」と言う日はまず来ないだろう。上手くいっていても何かの拍子にあの広大な中国のどこかで反日デモが持ち上がり、そこから全国へ反日のあらしが蔓延するのは 時期は誰にも予想がつかないがかなりの確率で起こるだろう。

そもそも中国ではデモ自体は許されていなくて愛国的なものは例外で認められている。そういう事で反日の体裁を取ればデモも許されるのだが、その実態は反汚職デモだったり反 共産党デモが正体だ。と言うことは、中国で蔓延している官僚による汚職や官民格差が無くならない限り、デモの種は永遠になくならないと言うことだ。つまりあの国で共産党による一党独裁が続く限り国民の不満は膨らみ続けていつでも臨界点に達する危険性がある。

現在のところ共産党の官僚も恣意的にデモを焚き付けて権力闘争に利用したりしているが、一方これは日系企業を攻撃したり日本から譲歩を取り付けたりする手段にも利用できる。これは一歩間違うと刃が自分たちの方へ向かってくる危険性があるので注意を要する手法だが、今のとこ ろ共産党は巧妙に利用しているようだ。これが怖いのは今では中国内での格差が共産国とは信じられないほど膨張してきていて大爆発の危険性が増している点だ。

あの国の共産党員は大いなる特権を持っているが、中央に近い官僚の特権は凄まじいものだ。ほとんどの高級官僚は親族に独占的な利権を与えて巨額の利益をわがものとし、子供達には海外の リッチな留学生活を送らせてまたなかには高級外車を与えている者も居る。あの比較的清潔とされていた温家宝でさえ 先日親族による巨額の隠し財産をニューヨークタイムスに暴露されていた。

これら日々膨張する不満は共産党一党独裁を止めるしか方法はない所まで行っているのだが、これまでさんざん甘い汁を吸い上げてきた共産党の官僚が自らそんな打ち出の小槌を放棄するのはほとんど可能性のない事で、結局中国は行き着くところまで行って最後は空中分解するしかないのかもしれない。ただその時は世界中に大激震が起こる可能性が高く、日本も当然大きな影響を受けるのは間違いないだろう。 特に劣等感と被害者意識に裏打ちされた現在の中国人の対日感情はそういう時には予想もしない反応を見せる危険性がある。

これらの事情は興侶一郎著「中国　目覚めた民衆」や津上俊哉著「中国台頭の終焉」に詳しい。中国も今世界で思われているほど発展していくことは容易でなく、むしろ経済成長も落ちてきて社会格差はいよいよ増大し、環境破壊も国を揺るがすことになることが詳細に記述されている。

本当は民衆の不満が大爆発しないように事前に軟着陸させることが重要なのだが、あの国が外国からの忠告など聞くはずもなく結局行きつく所まで行かないと終わらないのだろうか。 それらを危惧してだろうか、海外に移住する中国人もいるようだ。私の知り合いの中国人もそのような一人で先日アメリカ東海岸ニューヨーク近郊に邸宅を購入して、老後はそちらで送る という連絡があった。レストラン経営などでそれなりの資産を形成しているから可能な話である意味羨ましいが、反面そうしないと将来に安心感を持てないところは気の毒でもある。