金木犀
　

週に二回ほど夕食後にウオーキングをしている。自宅のある住宅地の外周を一周するのだが、これで大体１時間ほどになる。以前ダイエットのために通勤を徒歩にしていて結構歩いていたのだが、１０キロ体重が落ちて目的を達した後はモチベーションがなくなって歩かなくなっていた。 その後体重は食事を見直したのが奏功してか歩かなくても増量することもなく、またゴルフでは結構歩くしゴルフの練習では有酸素運動をするので徒歩通勤を止めても特に問題もないと思っていた。

ところが毎年チェックしている血液検査において２年前から中性脂肪が上昇しだし昨年ついに正常値から外れるようになってきた。血中脂質の中でもコレステロールは医学的にも注目も高く薬も数多く出ているが、この中性脂肪は薬で減らすのは難しくて運動や食事で正常値に戻すのが主流だ。私の場合もコレステロールは遺伝的に高い傾向にあるので３年前から薬を服用しているが、それまで中性脂肪に関しては無関心だった。しかしもうどうにか対処を考えないといけない状態 になったようだ。そこでちょうど運動不足気味でウオーキングを始めていた妻と一緒に食後のウオーキングをすることになった次第。

こういうものは一人だとなかなか続かないが、二人でやるとどちらかがめげてももう一人が後押しするので結構長続きするものだ。そういうことで歩きながら血液をチェックしてみると、効果があったようで今年の検査では中性脂肪は正常値に戻っていた。昨年、唯一異常値だった中性脂肪が正常になったので、測定したすべての項目で正常値になったことになる。こうなるともう歩くのを止められないし一段と熱が入る というもの。ノルディック・ウオーキングを取り入れたりして出来るだけ効果が上がるように工夫している。

昨日もそういうことでいつものコースを歩いたのだが、いつもと違って至る所で良い香りが漂っていた。そうなのだ、金木犀の香りだ。これは去年から不思議に思っていたのだが、この金木犀はいつも一斉に香りだして急に消えていく傾向にあるように思う。先週まで「今年は金木犀の香りがしないなあ」と話しながら歩いていたのに、昨日は至る所でこの香りが漂っていた。私はこの香りは大好きで前から自宅の庭に植えようという希望を持っているが、これはいまいち家族の賛同を得られていない。

世間的にもこの香りはトイレの芳香剤と混同されて不人気らしい。これはトイレが水洗になる前は汲み取り式だった匂い消しのために香りの強い金木犀が日本中でトイレ周辺に植えられたために、金木犀と言えばトイレの匂いという先入観を植え付けられたことによるという。金木犀 にすれば誠に迷惑な話で、あんなに良い香りなのにそういう歴史的な事情のために日本ではトイレを連想することになってしまっているようだ。

春の沈丁花と秋の金木犀はそれぞれ良い香りで私も大好きなのだが、どうも人間というのは一旦植えつけられた先入観を払拭するのは難しいことらしい。私としてはこの２種類の木を自宅の庭に植えるのを願っているのだが、それもいつ実現できるか分からない状態だ。ひょっとすると一生駄目かもしれないが、せめて今の時期はこの香りに包まれながらウオーキングを楽しみたいと思っている。