首相周辺
　

どうも最近、日本の評判を下げるような言動、もっと言えば国益を損なうような言動が多いように思う。アンネの日記の本３００冊を破る輩が出てきて、これは世界中で報道されているが当然日本のイメージにもマイナスに作用するはずだ。案の定、中国韓国の二国はすぐにこれに食いついてきて、「日本の右傾化の証明」だなどと声高に発信している。ただこの件などはそのうち犯人の検挙などがあれば解決して、そのうち世界各国の誤解も解消して何もなかったかのように静まっていく類の事件だろう。

問題なのは安倍内閣の閣僚や政権周辺の委員たちの言動だ。この内閣は元々トップである首相自身が右寄りの人間なので、閣僚もお友達と言うかかなり右寄りの人間が集まっている。これはこの内閣が発足した時点から危惧されたことだが、ここに来てその傾向が次第に表面化しつつあるようだ。ＮＨＫ経営委員の百田尚樹氏や長谷川三千子氏などはその最たるもので右翼と言っても良いほどの思想の持ち主のようだ。

百田氏は「永遠のゼロ」や「海賊とよばれた男」などのベストセラーを出している作家で、私も映画や著作で楽しませてもらった。この人はテレビなどでは人当たりの優しい人だが、その思想はかなり危ういほど右翼的なものを持っている。南京事件を否定するように戦争中の日本軍の行為についても 認めない発言が目立つ。これなんかは中韓に攻撃の口実を与える材料を提供する行為だろう。また「東京裁判はアメリカ軍の東京大空襲を隠すためのものだった」などと発言して、中国のみならずアメリカからも非難を受けている。

また長谷川氏はこれはもう全く酷いの一言に尽きる。元々３．１１同時多発テロをアメリカを罰するものと発言していたり無茶苦茶な右翼思想家だが、野村秋介の朝日新聞東京本社襲撃を賛美するような文章を載せたり、「男女機会平等法は文化の生態系を破壊する」などと主張していてとてもＮＨＫの経営委員に就任するような人物ではない。それでも安倍首相の 力添えで経営委員に収まっている。この２人は安倍総理実現の貢献が大だっただけの理由で経営委員にゴリ押ししたのだから元々委員に適した者ではない。だが首相のお墨付きがあるだけに、何を言っても与党サイドからの批判もなく辞任に追い込まれることもないだろう。所謂言いたい放題の状態だ。

また首相周辺の閣僚からの発言はさらに酷い。首相補佐官は「安倍首相の靖国神社参拝でアメリカが失望したという発言にこそ我々は失望した」などと言って、アメリカとの絆にも綻びを起こすような言動をしている。中韓の攻勢を考えると今最も連帯を強めなければならないアメリカを 遠くに追いやるような言動をすべきではないと思うが、実際にはその反対の言動が多すぎる。

そもそも安倍首相自体が右翼的な色彩の強い政治家で、国会で「私の内閣は村山談話をそのまま継承するわけではない」と公言してあとで前言を翻したり、以前から彼の歴史認識にはアメリカからも疑問符が付けられていた。昨日のニューヨークタイムスにも「安倍首相は今でも南京大虐殺は全く起きてなかったと主張している」と報じられているくらいだ。極めつけは靖国参拝だが、この情勢でなんでそんなことをするのか全く理解できない。今Ａ級戦犯を祀っている靖国神社に参拝すれば、中韓がどういう反応を巻き起こすかは火を見るより明らかだった。最大の問題はその事が反日で結びついている中韓にとって最大のプレゼントになる事が分からなかった彼のインテリジェンスの低さだろう。以前から彼の頭脳のレベルにはあまり期待していなかったが、こんな程度の総理を頂いていては日本の国益には大きなマイナスだろう。もっと判断力のしっかりした力量のある首相に換えるのが良い選択肢だと思うが、マスコミや政界がアベノミックスで浮かれている今の日本ではそれも難しいだろうか。