慶応の医学部学生が集団で一人の女性をレイプしたというニュースが報道されている。初め本当だろうかとわが目を疑った。
誰でも身内の事を書くのは難しいと思うが、この場合はより複雑だ。大学も違うし面識も無いので身内とは言えないと思うが、職業が同じというだけで世間的にはある種、身内意識を感じられると思う。正確に言えばまだ学生なので職業も同じとは言えないのだが、医学部の場合よっぽどの理由が無い限り医師になるのでそのように言って良いだろう。
東京ではどうか知らないが、少なくとも地方の医学部学生には今回の不祥事は信じられない出来事と思う（東京でも恐らくそうだろうが）。もちろん大勢の医学部学生がいるので中にはいろいろな個性を持った学生がいることと思う。我々の学生の頃も政治活動で警察のブラックリストに載っていたり、刑事に付回されたり、その他警察のお世話になったものもいた。
ただし今回のように集団でレイプするなどという事はまるで考えられないことだ。個人的に微妙な状況になり結果的にレイプで訴えられた、ということはあるかもしれないが、今回のようなことはまず信じられない。まさか全員がそろって泥酔していたなどとは考えられないだろうし、いったいどう言う精神構造をしているのか知りたいところだ。
聞くところによるとほとんどが医師や弁護士の子供で、生活もとても学生といえるような質素なものではなかったようだ。我々の時代でもかなり贅沢をしていた学生がいる医学校もあって、医学部学生の競技会などで集まったときにポルシェでレースのように走り回っていた学生もいた。今でも思い出すが、兵庫県で行われた競技会のとき、駐車場をポルシェで走り回っていた学生がスピードの出し過ぎでカーブを回りきれずに横転して車が大破したことがある。
そんな光景を見てこんな奴らが医者になって大丈夫か疑問に思ったこともあったが、これなんか可愛いもので今回の慶応のケースは医師というより社会人としての資質に問題があると言わざるを得ない。
マスコミは今回のケースを、医師になる人間として問題がある、という論調だがもっと広く今の若者の考え方、行動に問題が出てきているのではないだろうか。
それがかなり気になる。たとえば私が日ごろ診察していても小学生、中学生なら分かるが高校生以上の大学生や社会人の若者でもこちらからいろいろ症状を聞いてもまるで無反応な者がかなりいる。執拗なこちらの問いかけにやっと「アー、ウン」などと返してくる。
こんなことは１０年以上前にはあまり経験しなかったように思う。何を考えているのかまるで見当がつかない、場合によっては不気味でさえある、こんなことを最近よく経験する。
もし今回の慶応のケースがこんな得体の知れない若者の変化の氷山の一角だとすると空恐ろしいものがある。
今回のケースで言えば刑事事件にもなってないので、彼らほどの知能があれば何年か後には多分どこかの医学部に入っていることと思うが、こんな医者が誕生するとはやはり何か引っかかるものがある。もちろん医者以外の職業についたとしてもやはり心配なことに違いは無いのだが。