鬼怒川水害

一週間前に発生した茨城県常総市の大水害だが、悲しいのは火事場泥棒的な被害がかなり発生しているとのこと。これは９．１１の地震災害の際も見られたが、同じ日本人として誠に恥ずかしい行為で、こういう犯罪者の心理はいったいどうなんだろうと思う。同じ日本人がこれ程の災害に面して困窮しているに乗じて、こんな卑劣な犯罪を働く者は是非とも捕まえて厳罰に処してほしい。

犯罪者にとっては兎に角窃盗さえ上手くいけばよいわけで、被害者の状況や心情など全く関係ないのかも知れない。そもそも相手の心情をくみ取るほどの気持ちの余裕もないのかも知れない。ひょっとしたらこういう行為を働いている犯罪者自体が本当は一番情けなさを感じているのかも知れない。そうまでして生き延びていく境遇は生まれついての犯罪者以外は本人にとってもけっして誇らしいものではないだろう。また犯罪者が日本人だけとは限らないし、外国の犯罪者も視野に入れないといけないのかもしれない。

ただ考えてみれば、これが日本だからこれ位で済んでいるのであって、外国のしかも後進国ならとんでもない犯罪天国になっているのかも知れない。よく外国のニュースで流れるが、デモや抗議活動の際にすぐに暴動に発展して行って、デモの参加者などが店舗を破壊して、家電などの商品を持ち出している光景を目にする。あういう場面を目にすると、抗議活動に来ているのか、その後の暴動での略奪が目的なのか分からない。そういう事だから日本の災害における窃盗はある意味まだ可愛いのかもしれない。

外国旅行などの際に日本人は事前にかなり外国における治安面での注意を受ける。それでもやはり日本人が犯罪に巻き込まれて、最悪の場合は命を落とすことさえある。これは以前からそうで、私も34年前になるが新婚旅行でヨーロッパに行った時にやはり窃盗にあった。この時もかなり注意を受けて用心をしていたつもりだったが、やはり日本人の甘さかまんまと引っかかってしまった。

場所はスペインの銀行が立ち並ぶ大通りで観光客も多く、まるで犯罪の匂いのするところではなかった。それだけに油断していたのかもしれないが、ウィンドウショッピングしながら夫婦で歩いていたら突然若い男に話しかけられた。スペイン語でいろいろ言ってくるが分からないなりに、どうもタバコをくれという感じだった。全てノーで返事して歩いていたら、半分強引に私の靴をさっと磨いたので、「あぁ、これでタバコをくれというのだな」と思い、煙草を取り出そうとすると、突然数人の男に囲まれて路地に引き込まれた。そこで金を出せという事だったが、事前に持ち金を千円くらいに制限していたので事なきを得た。しかしその時に同行していた別の夫婦は数万円の被害に遭っていたようだ。

このようにあまりに治安の良い日本が当たり前だと勘違いすると、普通の国の犯罪環境に慣れるのには時間がかかるだろうし、また当然日本にも犯罪者は大勢居るわけだからそういう面での対処を誤ることもあるかもしれない。今回の事も大災害の時は犯罪者にとって警察も手が回らず天国のようなものだから、それに対する用心も当然必要だろう。こういう時には性善説では対処できない。

兎に角、当たり前のように思っている日本の治安の良さは世界標準じゃないという事は肝に銘じておく必要があるだろう。そういいうことを改めて再認識した今回の大水害だった。