稀有な女詐欺師

先日発刊された小保方晴子氏の著作が現在アマゾンで第一位の売り上げらしい。これを見ていると、彼女はこの期に及んで自然科学に疎い人々をどこまで食いものにするのかと怒りすら覚えるほどだ。この事件は彼女が悪意を持ってＥＳ細胞を持ち込んで、それをＳＴＡＰ細胞だと作りあげたもので本来なら立派な詐欺事件なのだ。ただ一般社会と違って、業績も取り消された上に博士号も剥奪されたし、もう詐欺事件として訴えることまではしなくて良いじゃないかとの 周囲の温情で不問に付されているだけなのだ。

そういう経過も知ったうえでかどうか、未だに彼女の容貌や雰囲気に惑わされたかのように彼女への同情論が結構強い。それどころか彼女が正当な実験をしたのに、若山教授などが梯子を外したせいでいわれなきバッシングを受けるようになったのだと理解している人達もいる。こういうのはほとんどこういう自然科学の分野に 馴染みが薄いかまたはそれを理解する能力の乏しい人たちに多いようだ。漠然とＳＴＡＰ細胞はあると信じたいとかあるに違いないと思いたい人たちだ。

一方、自然科学の分野で仕事をしていたり、そういう研究をしていた経験のある人々は彼女のことを憤慨しながら見ていることが多い。そういう私もその中の一人だが、彼女があの同情を引く出で立ちで嘘をつきまくっている様を見ると 心底怒りが込み上げてくる。自然科学系の実験をしていた者として、彼女のやった様な間違いは絶対に偶然起きたのではなく、故意に他の細胞を持ってこなければ起きえない事だと断言できる。しかも我々から見ると、若山教授が完全に彼女に騙されてＥＳ細胞でいろいろな実験をさせられたのは 明白なのだが、彼女を擁護している者達にはそのことも分からないのだろう。

そういう人間を騙して、また今回のように本を出してその売上金で利益を上げようなどとは言語道断の振る舞いで決して容認できない。おまけに彼女の企みのせいで日本でも最優秀な科学者が一人自殺に追い込まれているのだ。そういう事を考えると今彼女のしていることは許すことはできないと思うのだが、どうもそういう風に考えない人も多いらしくて何ともやりきれない思いだ。若山教授や理研も散々彼女に振り回されて世間の非難を浴びたせいもあり、今度の著作で彼女からＥＳ細胞混入の主犯のような事を言われても 今更相手にはしたくないのだろう。この本の発刊後もほとんど反論はするつもりもないようだ。彼女のことだから、それに乗じて今後彼等を非難する第二、第三の発刊を考えているのかも知れない。

まあこれほどまでに狡賢くて相手の気持ちを忖度できない女性が居るのだと、今更ながら感心すると同時に怖い思いも込み上げてくる。 そういう彼女とかかわったばかりに自殺に追い込まれた笹井氏や大きな被害を受けた若山氏については本当に不運だったと同情するが、まさかそんな女性が身近に居るとは想像できなかったろうから誰でも引っかかる危険性はあると思われる。 しかしあれだけ周囲の人々に迷惑をかけたにもかかわらず、その責任を全面的に若山氏に被せようとする彼女には本当に空いた口が塞がらないという感想しかない。

これ以上書いていくと、さらに怒りが募って小保方氏への攻撃がもっと酷くなりそうなので、笹井氏の冥福を祈ってここらで筆を置こうと思う。