朴槿恵政権のスキャンダル

韓国の朴槿恵大統領政権が驚愕するような大スキャンダルに見舞われている。大統領の友人（崔順実）が政権中枢に深く入り込んでその一族で様々な利権を貪りつくしていたとのこと。先日の日曜日には首都ソウルで100万人を動員する 反政府デモも発生している。これは普通のデモと違って子供も参加する全国民的なデモになっている。それには理由があって韓国の社会構造にも大きく関係している。韓国の受験戦争が熾烈を極めていることは周知のことだが、 崔が大統領権限を悪用して国の助成金を娘の乗馬の活動費に充てたり娘の大学の入学にも大統領の威光を借りての不正があったことが報道されて、厳しい受験にさらされている学生にも怒りが充満している状態だ。

青年層にも韓国の厳しい経済状況を反映して反発が強いようで、その世代の朴政権の支持率は遂にゼロになった。国全体でも支持率は５％というからこれは普通の考えられないように調査結果だ。 こんなに酷い政権末期状態は今までの歴代大統領を顧みてどうだったのだろうか。そもそも韓国ではほとんどの大統領が退位後に法律違反で収監されて、本人が死刑宣告を受けたり家族が罪に問われたりとまともな経過を辿っていない。これには韓国独特の社会構造が影響しているようだが、大統領の権限が強すぎることも大きい要因のようだ。

朴槿恵大統領もその辺りは十分に理解していたようで、大統領に就任するにあたって家族やその関係者をできるだけ排除して利害関係者による不正が発生しないように配慮していると一般的には理解されていた。ところがその朴大統領が本当は一番酷い事件起きる 基盤を作っていて、しかも彼女自身が この不正に関与している可能性まであるとの報道で国民の怒りが倍増しているのだろう。可愛さ余って憎さ百倍と言ったところか。

ただ今回の騒動は その歴代の政権の中でも一味違った別の意味で酷い事件に発展する可能性があると思う。それは一つには崔という民間人の占い師に大統領が機密情報を流してそれを基に占い師が国の政策の決定に関与していた可能性がある。また大統領自身がこの 崔にあまりに依存していて直接便宜を図った可能性も高い。彼女が実質的に運営する財団に大統領の威光で国から巨額の資金が入っていってそれを不正に流用した可能性も報道されている。 また次期ジェット戦闘機からミサイル迎撃システムの決定に至るまでこの女性が関与していた疑惑が持ち上がってきている。ここまで来るともうどこまで不正の規模が広がっているのか俄かには判断できない状態で、告発を検討している検察もその実態を把握できずに苦慮している状況だ。

そしてこの件はセオル号事件に関した報道で産経新聞の韓国支社長の日本人が逮捕されていろいろ調べられたこととも関係してくる。これはセオル号が沈没した時に７時間にわたって朴大統領と連絡がつかなかったことで、その間大統領が愛人と会っていたのではないか？との推測記事を紹介したことで告発されたものだった。それが日本の産経新聞が関わっていたということで スケープゴートにされた可能性が高いが、これは明らかに大統領サイドの力が働いてのことだった。 最近帰国している支社長本人がテレビで発言していたがこの崔順実関連の事情を執拗に聴取されたらしい。そしてこの事件が自分が逮捕された最大の理由なのだと悟ったという。 言わばこの件は韓国政界では踏んではならない地雷だったわけだ。

ところが最近になってこの沈没の時に、崔が大統領に紹介した美容整形医の手術を大統領が受けていた疑惑が浮上してきた。そしてこの医者も大統領府の不正な援助を受けていたようだ。大統領府はすぐにそれを否定するコメントを出したが、こういう与太話に大統領府がまともに取り上げて直ぐにこういうコメントを出すこと自体なんだか胡散臭い状態だと思う。大統領が緊急事態に美容整形術を受けていたという映画のようなコミカルな話だが これがそれ程不思議でないところが韓国らしくて笑える。

今後予定されている検察の事情聴取が中途半端な結果に終わると国民の怒りはさらに増幅するのは必至であり、検察も本腰を入れて取り組まざるを得ないであろう。そうなると不正な新事実がさらに暴かれて出てくる可能性は高く、どちらにしろ大統領退陣という事態を迎えるのは必然だろう。隣の国の大事件だけに日本でもかなり関心を集めているが 、どういう形で収束に向かうのか非常に興味がある事件ではある。