ゴールポスト

釜山に慰安婦少女像を設置したことを受けて日本政府は大使を一時帰国させるなど４つの強行処置をとった。これには韓国は予想外の反応だったらしくかなりの騒動を巻き起こしている。これまでにも韓国はいろいろと反日的な行動をとってきたが日本がここまでの対抗処置を示すとは予期しなかっただったようだ。韓国内では日本については暴れん坊の弟が兄貴に対して反抗するみたいなある種甘えた気分があったように思う。それは戦前の日本軍による蛮行などで日本に後ろめたい気持ちがあったからある程度は我慢しようという気持ちもあったのだろう。

そういうことから所謂「ゴールポストが度々動く」と言われるように、交渉事が成就しても後になって決着したことを韓国は再び蒸し返して同じ交渉を要求してくるようになっていた。慰安婦像についてもそういう事がないようにと2015年の日韓合意でわざわざ「 最終的かつ不可逆的に」との文言を入れてまでゴールポストが動かないように決着してきたはずだった。ところがソウルの大使館前慰安婦像を取り払うどころか新たに釜山 の領事館前に像を作るという暴挙に出たものだから、流石の日本政府も堪忍袋の緒が切れた状態になったんだろう。

ただこういう問題が浮き上がってくるたびにいつも思うのは、戦後70年以上たっているのにこの二国間ではどうしてこんなに拗れるのかということだ。この点を解明しないと何時までたっても同じことに繰り返しになると思う。それには2つの要因が 大きいと思う。。まず第一としては韓国国民の性格や国としての態度だ。こう言うと韓国は烈火のごとく怒るだろうが、彼等はエキセントリックですぐに激高する面があり国としても国際的な外交の面でも未熟だ。それには 歴史的に大国に翻弄されまた依存して生かざるを得ない地政学的な要素もあるだろう。それと国民が大規模なデモなどを起こすと国家がそれに引きずられて抑えることができない。また執拗な性格で何度も同じ問題を蒸し返してくる。

これが例えばドイツとフランスのことを考えるとはっきりすると思う。フランスとスドイツの間では昔から戦争が多く、特にナチスドイツについては第二次世界大戦であれほどの犠牲を払ったにも拘わらず戦後は許しの精神でドイツに接している。 昨年のノルマンディー上陸作戦の戦勝記念日にもドイツの首相を招いて一緒に祝うような付き合い方だ。韓国のように何時までもグチュグチュ言ったりはしない。マスコミも両国のリーダーが仲よくしたからと言って攻撃するようなことはない。ある意味ドライな大人の態度なのだろう。

ただこれには日本の態度も影響していると言えるだろう。これは第二の要因につながるが、ドイツのように徹底的にナチスの悪の面を暴きだして、その責任を国家ぐるみで追及する態度は日本には見られない。安倍首相もそうだが、右翼的な政治家が機会があるごとに日本軍はアジア解放のために戦争を起こしたとかアメリカにはめられて戦争になったとか主張し、世界的には修正主義者と看做される面がある。また 太平洋戦争を起こした政治家についても責任追及などはなく日本のために尽くしてくれた恩人に対するような発言が多い。韓国や中国での蛮行についてもドイツのように 責任を認めたり明確な謝罪などはなく、どちらかと言うとできるだけ避けようとする面がある。こういう事が余計に韓国や中国の国民の感情を刺激するのだろう。ナチスと日本軍を同列に論じるとは怪しからんと言うのが右翼の常套句だが、当たらずと言えども遠からずという面はあ り徹底的な反省は必要だと思う。

そういう事でかの国の政治家は政治的な危機を迎えた時にはすぐに反日カードを抜いて日本を攻撃してくるようになったのだろう。ここで重要なのはあの国の性格や態度を急に変えるのは多分不可能だからまずは日本の態度を明確に決める必要があると思う。何時までも奥歯に物が挟まったような言い訳がましい謝罪を止めてすっきりとした謝罪をしてその後にこそこそ言い返したりしない。そしてこれまでのように後ろめたい気持ちを一掃して、理不尽な反日カードが切られたと思ったときはきっぱりと反論して日本の立場を明確に表明する。

このようにお互いがドライな態度で親密に付き合ったり、また時には言いたいことははっきり伝える対等な立場に徹する。これこそが未来志向の二国間関係なのではないだろうか。 何時までもなんだかんだと反日的言動が多くいろいろ付き合いにくい国であることは間違いないだろうが、今のままではいつまでも煮え切らないウェットな関係が未来永劫続きそうな気がする。