新しいページ 2

ロンドン旅行記

この連休はロンドンに行ってきた。ヨーロッパは２８才の時の新婚旅行以来で３７年ぶりとなったが、開業してからは長期の休みはとりずらく現役でいる間はヨーロッパに行くような機会はまず無理だろうと思っていた。ところが今回天皇陛下即位に伴う長期連休で思わぬ機会が取れたので思い切ってロンドンへの旅行を決めたのだった。新婚旅行ではフランスやスペイン、イタリアなどのラテン系の国々が訪問地だったので一度はイギリスへ行ってみたいという願望があった。イギリスは島国で地理的にも歴史的にも日本と似通ったものがあり、また小学校以来習ったスコットランド民謡など日本人にも共通した心情を感じることが多いように思っていた。

前回の新婚旅行ではエコノミークラスで行って特に疲れた感じはなかったように記憶しているが、今回は年齢的に無理だろうと思って少々値が張ったがビジネスクラスで申し込んだ。飛行機を使う際にはいつも思うが、航空会社はエコノミークラスとそれ以外では極端に差をつけて待遇する。ファーストクラスやビジネスでは至れり尽くせりだがエコノミークラスではそれと比べるとかなりぞんざいな扱いだ。まず空港のラウンジからして大きな差をつけている。エコノミークラスでは狭いラウンジが使えるのはまだ良いほうで全く使えない場合もある。それに比べてビジネス以上だと広大なラウンジが用意されていて、シャワーや仮眠をとれるソファーも備えた部屋も使える。またアルコール類も飲み放題だし、食事も豊富なメニューが揃っている。今回もそうだったが帰りのトランジットで寄った仁川空港では永い肉食に飽きていたのでラーメンの美味しさが格別だった。

次に搭乗する際にもエコノミークラスでは長時間並ばせていて、そこに後から来たビジネス以上の客がある程度乗ってしまうまで待たせてやっと乗せ始める。乗ってからもすぐに一人一人にＣＡの丁寧なあいさつがありワインなどのサービスが始まる。そこでは使用できるトイレも違うしＣＡを呼んだ時の対応もまるで違う。もちろんシートはフルフラットだから眠ったままで目的地まで着くことができる。体を折り曲げたままのエコノミーとは雲泥の差だ。ここまで差をつけて「さあビジネス以上のシートを購入しませんか？」ということだろうが値段もかなり違ってくる。

実は私は今までエコノミーしか乗ったことはなく、ビジネスクラスは今回が初めての経験だった。と言うのは、国内の移動ではあまりビジネスの必要性を感じないし、海外では正月のハワイくらいしか乗らないのだが、これがとんでもないくらい料金が跳ねあがる。元々高い正月料金がまず倍になることは覚悟しなければならない。妻などはこれまでアメリカ本土やハワイに行く際に何度もビジネスを使っているが正月などの繁忙期ではないためそれほどの差はなかったようだ。

そうこうして寝ているうちにロンドンのヒースロー空港に着いた。翌朝から早速ロンドン市内を見て回ったが、この日はバッキンガム宮殿、ウェストミンスター寺院、ビックベン、セントポール大聖堂、ロンドン塔などの定番コースを巡った。やはりアメリカなどと違って歴史の重みを感じる建築物が多く、一時は世界の富をここに集めた時期があったことをうかがわせた。食事に関してはイギリスは拙いことで評判だが、パブで以前から一度食べてみたかったフィッシュアンドチップスをオーダーしてみた。味はまあまあと言ったところで量はかなり多めだったが完食した。パブはほとんどカウンターでその都度酒代を払って購入するシステムで、面白かったのは普通のレストランのように見えてもパブのような形式の支払いが多かったことだ。ある店でなかなかオーダーを取りに来ないので店員を呼ぶとカウンターに来て注文しろと言われた経験もした。

翌日早朝から行ったのがビートルズで有名なアビーロードスタジオ前の横断歩道だった。同名のアルバムジャケットの表紙にビートルズのメンバーがこの横断歩道を渡る姿を載せて以来世界で一番有名な横断歩道になっていて、この日も朝早くから多数の観光客がこの歩道の写真を撮っていた。意外だったのは繁華街にあると思っていたスタジオが清閑な住宅街のなかにひっそりと建っていたことだった。こういうことは実際に行ってみないと分からない情景で旅の醍醐味と言えるかもしれない。

次の日はもう一つの目的であったスコットランドに飛行機で行った。エジンバラだけだったが話に聞いていた如く寒くて、カシミアのセーターとダウンジャケットを着ていてもまだ足りない感じだった。同時期に日本ではポロシャツの感じなので相当気温差は大きいと思う。それと以前からスコットランドはほとんど曇天でわずかに晴れ間が見えてもすぐに曇って小粒の雨が降り出すことが多いと聞いていたがまさにその通りの天気だった。エジンバラの街に着くと路上にスコットランド名物のバグパイプを吹いている路上パフォーマンスの奏者が出迎えていていかにもスコットランドと言った雰囲気だ。エジンバラの町は全体が古い石造りの独特の建物で覆われていてまるでハリーポッターの世界に迷い込んだ感じになる。

以上のような今回のロンドン旅行だったが、今後は今度のような長期の休みはまずないだろうしヨーロッパに行く機会は現役で働いている間はもう二度とないだろう。そういう意味で非常に貴重な休暇だったが、新しい体験も幾つかあり思い切ってロンドンまでの長旅を実行して良かったと思っている。出来れば現役を退いた後に体力が残っていればまたヨーロッパに行ってみたいという気持ちが既に湧き上がってきているのでこれはぜひ実現したいものだ。