韓国という国

思い返せば下関育ちの私は韓国蔑視の空気が残る中で子供時代を過ごした。 それは学校でもそうで後年同窓会などで聞いた話だが学校の先生でさえかなりの差別意識を持っていることもあったようだ。同級生のなかには朝鮮学校とのけんかを繰り返す友人もいたが、 概して我々の世代は差別意識も親の世代ほどは強くはなかったと思う。さらに冬ソナ後からは韓国が好きになり韓国旅行も３度して親しみのある国だと思うようになった。その気持ちに変化が表れだしたのは文政権が始まってからだろう。その後に起こった韓国の反日政策には嫌悪感さえ抱くようになり、最近ではこのウェットでエキセントリックな国民に対しても面倒な民族だという感情しかわかなくなってきた。

そういう状況だったが先週日本政府が珍しく韓国向けに強硬な輸出規制案を発表した。韓国 への「輸出規制」をめぐっては、日本側が信頼関係欠如の対抗措置として発表。外国為替及び外国貿易法（外為法）上の「ホワイト国」から韓国を外し、有機ELディスプレイや半導体製造過程に必要なフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について、韓国を包括輸出許可制度の対象から外して、個別に1件ごと許可を受けなければならなくした。これには韓国は予想外のうろたえ振りで国は元より民間も蜂の巣をつついたような騒ぎだ。

とは言え、これまで日本政府は散々徴用工問題での話し合いを求めてきたのを韓国分政権が全く聞く耳を持たずという姿勢だった。それがいずれこのような事態になるのは分かっていながら放置してきて、いざこの輸出規制が出て来た途端に大騒ぎするとはどういう事だろうか。ひょっとすると内弁慶の日本がここまでの規制をするとは思ってなかったのか、または韓国独特の日本に対する甘えから日本には何をしても許されるはずという気持ちがあったのかもしれない。

現在、日本はこの輸出規制について「韓国側に不適切な事案があったせい」と言っているが、これは識者によると韓国に輸出した品目が北朝鮮に流れているとの疑惑を言っているらしい。そうならこれは安全保障上の大問題で軍事転用できる物資が北朝鮮に横流れしないようにこれは輸出規制しなければならないし、少なくとも韓国をホワイト国から外すのは当然だろう。 これは当たり前の論理でむしろこれをしない方が国際社会においても問題だろう。

現に韓国はＥＵからはホワイト国と見なされておらず貿易上の優遇処置は受けていない。また日本がホワイト国と認定しているのは欧米の国々がほとんどでアジアでは韓国だけだ。 過去の歴史的経緯もあってかここまで韓国を優遇してきたわけだ。これは安全保障上余程信頼関係がないと難しい制度で国連で禁止されている北朝鮮と瀬取りをしたり反日政策をとる韓国をホワイト国へ入れているほうがどうかしていると思う。こういう所も韓国を甘えさせて増長させてきた要因だろう。

ただこれまでの日本の対応を見ていると昔からの日本の根本的な外交音痴ぶりが目立つ。先日もある外交評論家が言っていたが、今回の処置はあくまで韓国の外交上の懸念に的を絞って徴用工問題は切り離して理由付けするべきだった。ところが日本政府はこれにプラスして徴用工問題を理由の一つに挙げているが、これがあるためにＷＴＯに韓国が提訴した場合に拙い事態となる。歴史問題での韓国の 態度に日本は外交で報復をしたことになり、これではＷＴＯ違反でもあり欧米でのマスコミも韓国の肩を持つ危険性がある。この辺りが日本の外交音痴と言われる由縁であり昔から日本の苦手なところだ。

そこをもう既に韓国は攻撃してきており、日本が韓国のどのような部分に疑惑があるのか明らかにせず韓国を責めるのは理不尽だなどと声明を出している。それに対して日本政府は例によって「北朝鮮への横流しなど個別の事案については言及を差し控える」などと言葉を濁している。この辺りが日本が過去何度も煮え湯を飲まされてきたことの反省が足りない 点だと思う。いくら自分が正しくても世界を相手にするときは言葉で明確に主張しないと相手の有利なポイントになる。先のレーザー照射問題でも韓国の声高の言い訳の前に結局は有耶無耶にされて日本の正しい行為が国際社会で支持されることはなかった。

日本の対応を見ていると本当に日本を考えて外交をする気概を持った政治家は居なくなっているのではないかとさえ思う。ただ単に当選回数が増えてきたから外務大臣になったとか自民党の中で受けが良いから総理大臣になったとか、政治家としての資質はまるで見られず長期的展望に立って政治家を育てる中国や欧米の政界が羨ましい限りだ。まことに寂しい限りだが、このような状況だからまだこの先も日本の外交音痴を歯痒い気持ちで見守るしかないのだろうか。

ともあれ韓国という近くて遠い国と本当の意味で和解できる日がいつか来るのかどうか深い疑念が残ったままだ。アメリカと日本、イギリスとフランスやドイツなど過去に国を挙げて殺し合いの戦争や虐殺を経験した国は多いが、被害国がこれ程長い間歴史問題や恨みを繰り返して巻き起こす国はまずなかっただろう。これはもう民族性の違いで未来永劫繰り返すことになるのだろうか。戦後の７０年間を見ていると悲観的な将来しか見えてこない気がするが・・・。